「学んだ数学を日常に生かせる人」の意識の違い 自分に必要な「正解」を導き出すフェルミ推定
なぜなら数学を学ぶことで先の見えない時代を生き抜くための「数学的センス」を最速で養えるからです。私の言う「数学的センス」は次の7つの力で構成されています。
①情報整理力、②視点の多様化力、③具体化力、④抽象化力、⑤分解力、⑥変換力、⑦説明力
これらの7つの力を身につけることこそ数学を学ぶ最大の目的であるというのが私の持論です。
ただ、残念ながら、数学を学んだ人全員が数学的センスを身につけられるわけではありません。数学で学んださまざまな考え方を日々の問題解決に活かせるかどうかは人によって大きな差があります。
「正解」より「正しい考え方」が求められている
「数学は苦手だけれど、数学的センスは身につけたい」と願う社会人には、私は「フェルミ推定」をおすすめします。フェルミ推定とは、簡単に言うと「だいたいの値」を論理的に見積もる手法のことです。IT企業をはじめ、多くの会社が入社試験で出題するフェルミ推定の問題には次のようなものがあります。
「日本にある電信柱の数は何本か?」
「インターネット上のすべてのweb ページ数は?」
このような予想もつかない問題が面接で出題されます。自分の頭で解き、論理的に説明する、その思考プロセスを見極めるためです。山勘で「~くらいでしょうか」などと漠然と答える人は(偶然答えが合っていたとしても)合格できません。
フェルミ推定で評価される人というのは、答えが正しかった人よりも、思考プロセスが数学的であった人だと言えます。
「面接の場では無理かもしれないけど、普段ならネットで調べればなんでもわかるんだから『プロセス』なんてどうでもいいでしょ」という意見もあるでしょう。
でも、本当にそうでしょうか?
私は、「答えを見つける」ことより、「正しい考え方ができる」ことのほうがずっと大切だと思います。なぜ「正しい思考プロセス」に重きをおくのかと言いますと、最後に頼りになるのは自分の頭だからです。
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