「学んだ数学を日常に生かせる人」の意識の違い 自分に必要な「正解」を導き出すフェルミ推定

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そこで、さらに分類していきます。

情報を分類する

《現状》

・客の数が減っている

・主な客層はOL

《外部環境》

・近所に大手チェーンのカフェができた

《内部環境》

・コーヒーの味には自信がある

・ブルックリン風の内装がオシャレ

《検討課題》

・新規にランチ営業を始めることを検討中

・サラリーマンも取り込むことを検討中

表や図にまとめる

あなたは友人として「現状」や「内部環境」を考慮しながら、リスクが少なく利益が上がりそうな新規事業の提案をしてあげたいところです。そこで、フレームワークの1つであるマトリックスを使って「検討課題」を図解してみましょう。ここでは、横軸に製品(product)、縦軸に市場(market)を取り、それぞれ「新規」と「既存」を考えます。

『「数学的センス」を磨く フェルミ推定』P.33より

このマトリックスを「PM マトリックス」と言います。このマトリックスを使うと次のような判断ができます。

・新規の製品&新規の市場 → 危険!

・新規の製品&既存の市場 → 挑戦する価値あり

・既存の製品&新規の市場 → 挑戦する価値あり

・既存の製品&既存の市場 → 現状維持

カフェの新規事業もこのマトリックスでまとめてみましょう。

『「数学的センス」を磨く フェルミ推定』P.33より

「サラリーマンにランチ」は市場も製品も新規になるためリスクが高いことがわかります。一方、現状の客層(市場)と商品(製品)から

・OL にランチ

・サラリーマンにコーヒー

のどちらかは、挑戦すれば勝機は十分にあるでしょう。

“たかが箇条書き”、“たかが表”とバカにすることはできません。情報を見やすくわかりやすくまとめることは、他人に対してはもちろん、自分自身の思考力を十分に発揮するためにも有益です。

「数学的センス」を磨く フェルミ推定
『「数学的センス」を磨く フェルミ推定』(かんき出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
永野 裕之 永野数学塾塾長

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ながの ひろゆき / Hiroyuki Nagano

1974年東京生まれ。暁星高等学校を経て東京大学理学部地球惑星物理学科卒。同大学院宇宙科学研究所(現JAXA)中退。高校時代には数学オリンピックに出場。レストラン経営、ウィーン国立音大への留学を経て、現在は個別指導塾・永野数学塾(大人の数学塾)の塾長を務める。著書に『東大教授の父が教えてくれた頭がよくなる勉強法』(PHPエディターズ・グループ)、『大人のための数学勉強法』(ダイヤモンド社)などがある。

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