長田:そのなかで、自分のモチベーションは保ちつつ、若い子たちのモチベーションも、自分とは違う形で上げていくには、どうしたらいいのか。こちらのマネジメントのスキルにもアップデートが必要だと感じますね。「対話」がすごく重要かなと思います。とはいえ、強制でもなくパワハラでもなく、ちゃんと話をしていくとなると……。
金間:わかります。コンプライアンスに触れない範囲で、どれだけ腹を割って話して、お互いを知るところまでもっていけるかは難しいところですね。
本音が出るまで「待つ」「放置する」
金間:先ほど、Z世代は明確に指示されたことはちゃんとできる、と言いました。たとえば「グループディスカッションをして、結論をパワーポイント6枚にまとめる」といったことはすごく上手にできるんですよね。でも実際のところ、それは、学校時代から慣れ親しんだ「テンプレ」があるから。要は「慣れ」の構造があるだけだと思います。
長田:そこに当てはめれば、「いい子」の回答が出せるということですね。
金間:そうです。上司の世代はそのテンプレを知らないから、新人研修なんかで「こんなきちんとした結論を出せてすごい」「即興でもこんなにできるんだ」という評価になるのですが、Z世代からしたら「小学4年生くらいからずっとやってます」という。
長田:私たちがSHIBUYA109に来ている若い子たちを集めて行うグループインタビューは、「フォーマットがない=正解がわからない」項目にしています。参加者は「やばい、正解がわからない」と当惑しつつ、「誰が何を言い出すか」と周囲をうかがい始める。グループディスカッションとはまた違った意味での「いい子症候群」が現れます。
金間:なるほど。「あれ、テンプレがないぞ」「どうしよう?」という感じになるんですね。でも自分からは積極的に発言しない。たしかに人の目を過度に気にして、没個性でありたい「いい子症候群」的な行動ですね。