「人前でほめられたくない新人」をどう伸ばすか? 新たなる「没個性時代」のマネジメント論

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長田そうなんです。「尊敬できる」「決断力がある」「リーダーシップがある」あたりがトップにくるだろうから聞いても仕方ないでしょう、と。でもZ世代の部下に「それらは絶対、上位に来ないです」と言われて、実際、その子の言うとおりになりました。トップになったのは、「わかりやすい言葉で説明してくれる」「丁寧に教えてくれる」――。たしかに重要ですけど1位、2位になるとは思いませんでしたね。

(写真提供:本屋B&B)

金間そこで生じてくるのが「わかりやすい、丁寧ってどういうこと?」という解釈の問題です。

長田たしかに。今の40代以上の世代は、わかりやすく丁寧に説明されるどころか、ほとんど何も言語化されないなかで、上司の背中を見て仕事を覚えてきた人が多いですよね。そうやって今では部下を束ねる立場になっている人が、いきなり「わかりやすい言葉で説明して」「丁寧に教えて」って言われても……。

Z世代のマネジメントは「分解」がキモ

金間やり方がわからないのは、しょうがない。ただ、衝撃はさておき、少なくとも一定の傾向は見えたわけですから、対策していきましょうということですね。

そこで基本となるのは「分解」だと思います。行動を細かく分解すればするほど、実はモチベーションがなくても動ける構造になるんですよ。たとえば「まずパソコンを開きましょう」と言われて、モチベショーションを発動させる必要なんてありませんよね。

長田開けばいいだけですから。

金間極端にいえばそういうことです。Z世代の意欲向上に悩んでいるマネジメント層は多いと思いますが、その問題意識を「分解が足りないのではないか?」という問題意識に置き換えてみませんか、というのが僕からの提案です。最初は面倒だと思いますが、徹底的に分解する。それが「わかりやすく丁寧な説明」にもつながるでしょう。

そして次にポイントになるのは「どこで引くか」です。「この子はもう自走できる」というところまで慎重に見ておくことが重要です。

長田徹底的に分解して説明したら、あとはそこに注目していればいい、ということですね。

金間はい。成長スピードは人によってバラバラですから、「分解」は全員に向けて一斉に、「独り立ち」は個別に見極めていく。こうした形のきめ細かなマネジメントが必要になっていくでしょう。

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金間 大介 金沢大学融合研究域融合科学系教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授

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かなま だいすけ / Daisuke Kanama

北海道生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士)、バージニア工科大学大学院、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、 東京農業大学准教授、金沢大学人間社会研究域経済学経営学系准教授、2021年より現職。主な研究分野はイノベーション論、技術経営論、マーケティング論、産学連携等。著書に『イノベーションの動機づけ:アントレプレナーシップとチャレンジ精神の源』(丸善出版)、『イノベーション&マーケティングの経済学』(共著、中央経済社)など。

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長田 麻衣 SHIBUYA109 lab.所長

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おさだ まい

総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て、2017年にSHIBUYA109エンタテイメントに入社。SHIBUYA109 マーケティング担当としてマーケティング部の立ち上げを行い、2018年5月に若者研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立、多くのaround 20(15歳~24歳の男女)と接している。

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