育児中の“諦め”
「育児中は仕事にやりがいを求めてはいけないのか」――。
およねさんが新卒入社したのは、社員20名程度の福祉系ベンチャー企業だった。企画や採用などさまざまな業務を任され、「夜中まで働くことも多く大変だったが、毎日充実していた」と振り返る。しかし、結婚を経て、妊娠・出産すると状況が変わってしまう。
「時短勤務で復職しましたが、仕事量は出産前と変わらない。夫も多忙だったため、実母に子守をしてもらい、土日も持ち帰り仕事をしていました」
仕事と育児の両立のために無理をし続ける毎日に挫折し、復職後半年で逃げるように転職。定時帰り可能で持ち帰り仕事なしの職場で、採用アシスタントの仕事に従事した。
「転職後は、子どもとの時間を確保できるようになった反面、自分じゃなくてもできる仕事に物足りなさを感じるようになって。やりがいを感じられないまま、40代になって良いのかという不安がありました」
一方、子どもの急な体調不良や保育園からの呼び出しもあるなか、自分にしかできない仕事を全うできるかと言われると、「現実的に難しい」と考えた。
「育児中は、仕事にやりがいを求めてはいけない」という諦めと、キャリアへの不安を抱えたまま、2人目を妊娠・出産。育休から復職したタイミングで念願だった異動を打診されたが、コロナ禍により異動が急遽白紙になってしまった。
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