学部系統別の志願者状況は、体育・スポーツ系が最も増えた。東洋大や立教大が学部を新設した影響が大きいが、同志社大や立命館大などの既存学部も増えている。生命や芸術、獣医、心理、医などの増え幅も大きい。
生命や心身の健康に関する系統の志願者増は、コロナ禍で高校3年間を過ごしてきたことと無関係ではないだろう。芸術の増加も、コロナ禍の影響でIT関連のクリエーターを目指す受験生が増えたと考えられる。
社会科学系では経営が前年並みだが、商と政治・政策、経済が増加している。コロナ禍の収束で、就職に対する不安感が薄らいだことが影響しているようだ。一方、コロナ禍の就職不安から公務員などの資格志向が高まり、志願者が増えていた法は大幅に減った。
女子の志願傾向に変化
もっとも、公務員志向は男女で温度差がある。23年度入試では、中央大や明治大、立教大などの法学部合格者数ランキングで女子校が1位になり、東大・文I合格者の女子比率が初めて3割を超えた。ある女子校の進路指導教諭は、「法学部から公務員などの資格取得を目指す生徒が増えている。経済や経営の志望者も増加傾向で、社会での自立を意識した学部志望傾向を感じる」と言う。
女子の志望傾向の変化は文・人文系の志願者減に表れており、この系統の定員が多い女子大の志願者数は、現時点の集計で9%減った。恵泉女学園大学や神戸海星女子学院大学、短大では上智短期大学が閉校を発表するなど、女子大は厳しい状況に置かれている。
それでも前出の女子校の教諭は、「女子だけの教育・研究環境を望む生徒は一定数おり、女子大の役割は大きい」とも話す。そうした中、女子大では、理工系など設置が少なかった学部の新設が進む。こうした大学の成否は、女子受験生が志願先として理工系学部にどこまで目を向けるかがカギとなる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら