近年の私立大入試は、入学者に占める一般選抜(一般入試)合格者の割合が下がる一方だ。2022年度の一般選抜による入学者は全体の41%で、学校推薦型選抜とほぼ同じ割合。学校推薦型選抜と総合型選抜を合わせると、6割近くがいわゆる「年内入試」で入学している。
18歳人口の減少も進み、この2023年度の私立大一般選抜の志願者は、4年連続で減少した。それでも、高校3年間の勉強の頑張りを評価する一般選抜は、各大学の人気のバロメーターに変わりはない。
2023年度入試で志願者が最も多かった大学は近畿大学。昨年は情報学部の開設効果などで大幅増だったこともあり3・2%減少したが、それでも10年連続で志願者数日本一の座を守った。
2位も昨年と同様、千葉工業大学。こちらは前年比4・4%増で連続増加になった。コロナ禍で困窮する家庭救済のため、大学入学共通テスト方式の受験料を無償化するなど出願しやすさが志願者増の要因だ。3位の明治大学も昨年に引き続いて増加した。対照的に、昨年、大幅に志願者を増やした法政大学(4位)は、反動減で10万人台を割り込んだ。
MARCH全体では9000人減
それ以外のMARCH(明治大、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大)勢は、12位の立教大と16位の青山学院大が減少。一方で10位の中央大は、昨年の志願者大幅減の反動に加え、法学部が都心に移転した効果もあり増加した。MARCH全体では、前年比で9000人近く下回った。
首都圏の難関私大で志願者の増加率が最も大きかったのは27位の上智大学だ。私立大志望者が受けやすい3教科型の共通テスト方式を導入した効果が大きい。最難関の早稲田大学(7位)と慶應義塾大学(22位)は志願者を減らしている。
近畿圏の関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)では、立命館大(6位)、同志社大(14位)、関西学院大(17位)が昨年を上回った。関関同立全体では、MARCHとは対照的に1万人以上増えた。近畿圏は国公立大志向が強く、併願大学に関関同立を選ぶ受験生が多いことが一因になっている。
準難関大では、首都圏の日東駒専(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)で志願者が増えたのは、5位の日本大と25位の駒澤大。近畿圏の産近甲龍(京都産業大学、近畿大、甲南大学、龍谷大学)は、近畿大を除き志願者が増えた。23年度の難関・準難関私大の出願状況を見ると、「西高東低」という結果になっている。
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