塾の勤務が4年目となった29歳の夏、初めて東大志望の生徒が入塾しました。彼は全力を尽くして受験をサポートしましたが、センター試験も2次試験もうまくいかず、残念ながらその望みを叶えることはできませんでした。
「親御さんも生徒も非常に感謝してくださいました。でも私は、日本でいちばんを争うほど平均所得が低い地域で、高額な授業料をずっと払ってもらっていたのに結果を出せなかったことがショックでした。
ここで、自分自身が大学受験の経験も学力もないことをとても悔やんだのです。きっと、同じような生徒が来てもまた同じことの繰り返しになるなと思いました。だから、もし今度東大を志望する生徒に会ったとき、自信を持って『任せてくれ』と言って指導するためには、自分が東大に受かるだけの学力と受験生活のスキルを身につけなければならないと思ったんです」
30歳で東大受験を決断
こうして30歳になって初めて東大受験をする決断をした青戸さん。
「1年で合格する」と心に決めて、参考書をメインで使用しつつ、YouTubeなどの動画も補助的に活用しながら独学をこなしました。
「正社員から週4回勤務のアルバイト講師に契約を切り替えて、夕方から授業をしながら午前〜昼間に1日3~4時間勉強をしていました」
この年は残念ながら東京大学には届きませんでしたが、合格最低点からわずか13点差と、初めての受験とは思えない僅差での不合格となります。
「3回受けた東大を想定した模試ではすべてE判定で偏差値もいちばんよくて45。センター試験も702/900点でしたが、自信がありました。働いていた塾に講師が足りなかったので、自分も各科目を教えていたのですが、教えるためには正確な理解が必要なので、中学レベルのテキストを読み込んですでに基礎を固めていたんです。だからこそ、考える力を問う東大の問題と相性が良かったのです。2次試験が終わってすぐに、合格したと思いました」
この年で受かったと思った青戸さんは、合格発表の前に東京に引っ越す準備をし、住む場所も契約してしまいました。
そのため、2浪目は東京で週4~5日、明光義塾でアルバイト講師として働きながら勉強をしようと決断します。しかし、この選択が大きな間違いだったと彼は後に悔やみました。
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