高校生の叫び「やりたい職業ありません!」 10代からの質問、安井先生はどう答える?

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いただいた文章を拝見するに、葵さんの場合は、深く考えすぎている面と軽すぎる面が同居してしまっているように思います。

まず「深く」の面ですが、高校生という現時点では、将来の興味の矛先が変わる可能性もありますし、将来の仕事を決めることの優先順位は決して高くありませんよね。ましてや一度選んだ仕事を、将来、変えられないかというと、そんなことは決してないわけです。

無理に選択肢を絞る必要はない

高校生ならば、表面的な情報で過度に将来の選択肢を絞ってしまう必要はなく、勉学という意味での自分の強みと興味がどこにあるのかを考え、その中で幅広めに将来の職業の選択肢を漠然と考えてみる、というスタンスでもよいのではないでしょうか。

これから大学などでいろいろと学ぶ前提でしょうから、その学びを通じてやりたいことを絞る基準を構築していけばよいのです。

過度に考えすぎるよりも、自分の強みや興味のあることを軸に深く勉強したり、人の話を聞いたりといろいろと挑戦してみる、そしてそれがどう仕事につながるかを考えてみる、というスタンスが大切です。

興味があることを仕事にするのであって、目の前にある仕事から強引に興味を持ってみる、という逆のスタンスでは長続きしません。

ましてや情報量の限られる高校生の段階では、自分にとって選択可能な職業の列挙すらも思いつきになってしまいます。ですから、やるのであればまずは自分の興味の矛先を探してみる、ということなのでしょう。

次に「軽い」の面ですが、たとえば、「教育系は自分の実力ではムリ」と断定していますが、教育系といっても非常に多岐にわたる職業があります。その断定の根拠は何でしょうか。評価の基準が単に現在の偏差値だけだとすると、そんなものは今からいくらでも上げることができます。

若いということは自分で可能性を摘んでしまわないかぎり、可能性は無限大です。

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