2浪目の医学部試験中に彼がとった「衝撃の行動」 「格闘技医学」の開拓者、二重作さんに話を聞く

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「この年、ようやくセンター試験の壁を突破したんです。全体でも720/800点、苦手だった数学も数I+Aと数II+Bで190/200点以上の得点となりました。2浪目は、これでダメならもうやめようと覚悟を決めていたんです。望みが叶わなければ、所詮そこまでだったと。自分を追い込んで向き合うことで、やっと本気になれた気がします」

この年は前期試験で滋賀医科大学、後期試験で高知医科大学を受験します。前期では惜しくも落ちてしまいましたが、滑り止めで選んだ慶應義塾大学の理工学部に合格したことで「とりあえず大学生にはなれそうだ」と前期不合格を引きずらずに済んだそうです。

パニックで取ったある行動

そして2浪目の最後、高知医科大学の試験に臨んだ二重作さん。「数学の試験中、ある問題の解法が見えずにパニックに陥りました。ヤバい、これできないと落ちる、と。その瞬間、激しい頭痛も襲ってきました」と絶体絶命の状況でしたが、深呼吸をして少し仮眠をとることで冷静さを取り戻し、その後はスムーズに解に向かえたそうです。そして、ついに念願の国公立医学部合格を手にしました。

「『やっとなりたい自分になれる』ってことが嬉しかったですね。あのとき、思い切って仮眠をとる、という判断ができなかったら、自分は今、医師になれていなかったですね。弱点でしかなかった『数学』が得点源になったり、ギリギリの勝負どころに変わったりする経験もしました。いろんな意味で記憶に残る勝負でした」

小学生・中学生の頃からの父への想いで戦ってきたリベンジマッチ、最後のチャンスでの逆転勝利でした。

こうして2年の浪人生活で大きく成長した二重作さん。浪人して良かったことについて聞いてみると、「原理・原則から理解する重要性を学べたこと」という言葉が返ってきました。

「かつての僕は、数学の公式を丸暗記して使おうとしていました。でも、その公式の成立過程には意味があります。完成したものを覚えるだけではなくて、そこに至るまでの論理立ったプロセスを習得すると無限に応用が可能なのです。

スポーツでも、勉学でも、最低限守るべき約束事や基礎があって。なぜそうなるかを理解しながら、1つひとつ積み上げるからこそ次のステージに行けます。原理・原則から理解すれば、指導者のコピーではなく、自分で考えて組み立てられる人になれる。浪人したおかげで、『強さの型』を手にすることができたんです」

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