2浪目の医学部試験中に彼がとった「衝撃の行動」 「格闘技医学」の開拓者、二重作さんに話を聞く

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「当時、出場していた国内の試合ではすべて3位以内に入賞し、必ずトロフィーを持って帰ってました。だから『僕は強い』と勘違いしてたんですね(苦笑)。ですが、向こうでは187cmの黒人選手と対戦し、見たこともない軌道の蹴り技をもらって、ぶっ倒されました。口の中は内出血して歯もグラグラ、もうコテンパンにやられました(笑)。

わざわざアメリカまで行って、世界の広さと己の弱さを見せつけられたんですね。そこで、人間の体をもっと詳しく知って、フィジカルだけではなく叡智の面も鍛えなければならない、と思ったんです。この敗戦が、医学部をそれまで以上に強く意識する転機になりました」

こうして夏から、学校の勉強も自習も気合いを入れて取り組むようになった二重作さん。しかし、火がついたのが受験まであと半年の段階であったため、残念ながら間に合わず、センター試験は640/800点。国公立医学部に行くには最低でもあと40点ほどは必要で、結局、受験した大学の2次試験の合計得点を合わせても合格点に足りず、落ちてしまいました。

1浪して全落ち…自分自身が嫌いに

こうして現役の受験を消化不良で終えた二重作さんは「目標を途中で変更するのは自分との約束を破るような気がした」と思い、浪人を決断。代々木ゼミナール福岡校の全日コースに入ります。

しかし、医学部の判定は現役時のD~Cから上がることはなかったと言います。

「1年浪人したらなんとかなるだろう、と楽観的に考えていて、自分のことなのに、切羽詰まった感じはありませんでした。1日10時間ほど勉強をしていたので、遊んでいたわけではないのですが……、ただたんに授業や模試を受けているだけで、必死さがなかったんです」

その自身の認識の甘さに気づいたのが、センター試験が終わった後だったそうです。

「センター試験は去年640/800点とっているから、まぁプラス40点くらいは取れるんじゃないかと甘い計算をしていたんです。でも、蓋を開けてみれば610/800点で、現役の時より30点ほど下がりました。もう、茫然自失でした……。予備校から帰るときの横断歩道の景色が霞んで見えたことをよく覚えています。自分自身のことが信じられなくなって、嫌いになりました。自分との約束を破ったのは、僕でしたから」

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