83歳の志茂田景樹「やりたいことはやり残すな」 悩みを抱える若い世代に伝えたいメッセージ

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志茂田景樹さん(写真:志茂田景樹事務所)
1990年代、テレビ番組にラジオ、講演などで活躍した直木賞作家の志茂田景樹さんは、2010年4月から毎日Twitterでメッセージを発信しています。そのメッセージに「力をもらった」「前向きになった」「救われた」など多くの声が寄せられており、2023年4月現在、フォロワー数は42万にまで増えています。
関節リウマチと呼吸器疾患を抱えて車椅子ユーザーの介護生活を送りながら、毎日執筆と発信を続けている志茂田景樹さんのエッセイ『9割は無駄。』から、抜粋してメッセージを紹介します。

うまくいく、いかないは二の次でいい

「人生、2度はねえよ。
やりたいことはやり残すな。
うまくいく、いかないは 二の次でいいぞ。」

大学の先輩のRさんは、零細に近い家業を継いで、社員70~80人の優良中小企業に成長させた。

10年ほど前に息子に会社を継がせ、今は悠々自適の生活をしている。

半年に1回ぐらいの頻度で会って飲んでいたんだが、いつも愚痴から始まった。

「おれは跡取りだったからなあ。家業を継ぐか、家を出て親を捨てるか、と迫られて美大進学をあきらめた。あのとき、自分を通せばよかったんだが……」

Rさんは彫刻家志望で、高校時代に有名公募展に入選したこともあるのよ。

「今からやればいいんじゃないですか?」

「もう、そんな情熱はないよ。あのとき、決断するかどうかだったんだ」

Rさんは無念そうに盃の日本酒をあおった。

家業で成功したくせに贅沢な未練だ、と僕は思ったよ。

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