83歳の志茂田景樹「やりたいことはやり残すな」 悩みを抱える若い世代に伝えたいメッセージ

うまくいく、いかないは二の次でいい
やりたいことはやり残すな。
うまくいく、いかないは 二の次でいいぞ。」
大学の先輩のRさんは、零細に近い家業を継いで、社員70~80人の優良中小企業に成長させた。
10年ほど前に息子に会社を継がせ、今は悠々自適の生活をしている。
半年に1回ぐらいの頻度で会って飲んでいたんだが、いつも愚痴から始まった。
「おれは跡取りだったからなあ。家業を継ぐか、家を出て親を捨てるか、と迫られて美大進学をあきらめた。あのとき、自分を通せばよかったんだが……」
Rさんは彫刻家志望で、高校時代に有名公募展に入選したこともあるのよ。
「今からやればいいんじゃないですか?」
「もう、そんな情熱はないよ。あのとき、決断するかどうかだったんだ」
Rさんは無念そうに盃の日本酒をあおった。
家業で成功したくせに贅沢な未練だ、と僕は思ったよ。