83歳の志茂田景樹「やりたいことはやり残すな」 悩みを抱える若い世代に伝えたいメッセージ
何かの不祥事に連座してまだ30歳そこそこで依願退職したという。きっと、自分の傲慢につまずいたんだろ。
その道での年長者が持っているものは、こっちが常に懐を深くしていれば尽きることがないぞ。
そういう意味では無限なのだよ。
医者嫌いの父が病院へ行くまで
余談になるが、父が悠々自適の生活を送っていた80歳のとき、トイレに入ると30分、1時間もいるようになった。やせてきたし、顔色も悪くなった。
便通障害を起こしているとわかり、重大な病気が隠れているのではないか、と僕は案じたのよ。父は頑健だっただけに、上に馬鹿がつくほどの医者嫌いで、こりゃまずいな、と思ったぜ。
案の定、心配した母が何度病院行きをすすめても取り合わない。しまいには母を怒鳴りつけるようになった。
僕は一計を案じて、やはり、悠々自適の生活に入っていたYさんを訪れ、あることを頼んだのよ。それからしばらくして、Yさんは通りがかりのようにわが家に立ち寄り、父としばし歓談した。
帰り際に、「きみ、顔色がよくないぞ。病院へ行けよ」とさりげなく言ってくれた。
翌日、父は素直に病院へ行った。
10日程経って僕だけ呼ばれ、直腸がんで肝臓と肺に転移しており、余命3ヶ月と告げられたのよ。父はすぐに人工肛門を装着して約1年後に穏やかにこの世を去った。もしYさんが病院行きをすすめてくれなかったら、そうはいかなかったろうな。
父はYさんには常に懐を広げて吸収していたってことよ。
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