「奨学金240万円」34歳彼女が選んだ仕事と結婚 大学ではなく専門学校に進んだ理由とその結果

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なお、弓木さんは第一子を妊娠中。結婚後も母の言いつけを守り、正社員として働き続けている。奨学金を借りて自分に投資したことで、今の順風満帆な生活はあるのだが、その一方で手放しで奨学金制度を評価することはできないという。

「リスクの説明が不十分だと思っています。高校や専門学校で奨学金の説明会はありましたが、返済のルールや救済制度についての説明だけで、世の中の情勢によっては、返済そのものができなくなる可能性があることはいってくれませんでした。

わたしの場合はリーマンショックがありましたが、最近まで新型コロナが流行したり、社会というのは不確定要素が多すぎるんですよね。そんな社会で一定額を返し続けるのが難しくなる場合もあることも、しっかりと伝えてほしかったですね」

奨学金は結婚や妊娠を躊躇する要素になる?

また、結婚や子育てというタイミングに奨学金の存在がネックになるということは、姉妹ともども実感してきた。

「わたしは『自己投資』のために奨学金を借りているつもりですが、人によっては『借金』と考える人もいます。どう捉えるかは人の自由ですが、それでも『奨学金の返済があるのに、結婚してもいいのかな?』とは、20代のときはずっと感じていました。

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あと、仮に結婚はできたとしても、子どもは持てないと思いますよね。というのも、子どもを育てるのに2000万円はかかるといわれているのに、自分にも借金があるという状況では、子育てに責任が持てないですよね。わたし自身、子作りのタイミングは、奨学金の返済の有無が関係していたのかもしれません」

これまでお金で苦労してきた分、そして奨学金を借りたことで、人生を俯瞰的に見るようになった弓木さん。

奨学金のせいで結婚や子育てに制限が出てしまうことを当事者の口から述べられると、非常にやるせない思いをしてしまうが、それでも彼女は「奨学金を完済できたこと」が人生で誇れることのひとつと豪語する。

「奨学金を借りるとつらい思いもします。そして、社会を生き抜くには、中長期的視点と頼りになる友達が非常に大事になってきます。だから、友達は大切にしましょう。そのことさえ、肝に銘じておけば、人生はうまく好転していきます」

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。奨学金を借りている/給付を受けている最中の現役の学生の方からの応募や、大学で奨学金に関する業務に関わっていた方からの取材依頼も歓迎します。
千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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