なぜ中国人は日本で「便座」を爆買いするのか 来日して買っていく商品第3位!

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免税品コーナーに置かれていたTOTO製は2万円前後だったが、1万円超の変圧器を加えると、3万数千円になる。中国語表示もあるパナソニック製より2万円以上も安いので、迷った結果、こちらを購入していく顧客もいるという。

しかし、TOTOによると、「日本と違い、中国では電流が安定していないので、変圧器の使用はあまりお勧めしていません。中国で、変圧器を使って当社製品を使用していただいて、もし何か問題が起きれば、当社へのクレームにつながる可能性がありますので……」と消極的だ。温水洗浄便座といえば、これまでTOTOというイメージが強かったが、意外にも、TOTOは中国人の「爆買い」の恩恵には、それほど(?)あずかっていないのかもしれない。

なぜ重い便座を、わざわざ日本で買う?

むろん、中国にもTOTOやパナソニックの拠点はあるのだが、中国人観光客の声に耳を傾けてみると、日本に観光に来てまで、わざわざ便座を買うのには、それなりの “理由”がある。

「別に私たちはメイド・イン・チャイナでもかまわないんですよ。日本人が厳格に品質管理した商品で、パッケージに日本語が書いてあって、日本のきちんとした店で正式に販売されているというところに“価値”があるのです。

便座の仕様が日本語であっても、使い方はだいたいわかるし、それはそれで、『確かに日本で買った』というステータスと希少価値になるでしょ? 中国に持ち帰ったとき、みんなに自慢できちゃう。だから、私たちは“日本で”便座を買って帰るんですよ」(中国人観光客)。

なるほど。重たい思いまでして便座を買って帰るのには、そういう理由もあったのか。

日本企業の厳しい管理をクリアした商品であれば、中国製であっても大丈夫だと中国人は信じている。逆に言えば、たとえメイド・イン・ジャパンであっても、中国国内で販売されているものを中国人は信用しない。もしかしたら、「ニセモノではないか」「品質が悪いのではないか」、はたまた「見た目は同じでも、日本国内で売られているものとは違う二級品なのでは?」と疑ってしまうからだ。それほどまでに中国人は日本国内で販売されている製品、そして日本人のモノづくりに全幅の信頼を置いている。

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