中国の夜行列車が高速化時代でも増える理由 最長列車は5000㎞、車中泊も当たり前なのに

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中国の夜行列車。夜が更けた大都市の駅で、大勢の客が列をなす。日本ではほぼ消滅した光景だ

国内の鉄道から夜行列車が消滅しようとしている。3月14日のダイヤ改正に伴い、上野~札幌間の寝台特急『北斗星』が臨時列車に格下げされた。定期運転の夜行列車は現在、青森~札幌間を結ぶ急行『はまなす』と、東京~出雲市間を結ぶ寝台特急『サンライズ出雲』、東京~高松間を結ぶ寝台特急『サンライズ瀬戸』の上下各3本、計6本だけだ。

夜行列車は寝ている間に移動するという特性から、時間を節約できるというメリットがある。夜遅くに出発して翌朝には目的地にたどり着けるのだから、今でも「夜行移動」の需要はそれなりにあるとは思う。とはいえ、飛行機や新幹線の最終便で現地入りして前泊するか、早朝の初発便で現地に向かえば、かつての夜行列車に相当するスケジュールを組める時代。昼行の高速交通の発達で「夜行移動」のメリットを生かせるケースは大幅に減っている。

だが、日本の外、特にお隣の中華人民共和国(中国)に目を向ければ、夜行列車を比較的気軽に体験することができる。私自身、中国の夜行列車を何度か利用し、その魅力に取りつかれた。

4000㎞台も!本数と距離で圧倒する中国の夜行列車

中国の夜行列車は、とにかく運行本数が多い。『全国鉄路旅客列車時刻表』(中国鉄道出版社)の2015年1月版に掲載されている列車の運行本数は、約5200本。このうち日本の夜行列車に相当する時間帯を走るのは約1300本で、全体の4分の1を占めている。日本に残る定期運行の夜行列車のなんと約200倍だ。

国土が広いため、日本とは比べものにならないほど長い距離を走る夜行列車が多い。『トワイライトエクスプレス』の走行距離は全体で約1500kmだったが、中国の夜行列車の多くは1500km以上の長距離を走り、中には3000~4000kmを走る列車もある。

中国の夜行列車は超長距離を走る。写真の列車は約3600kmのハルビン~広州間を車中2泊で結ぶ

中国の最長距離列車は現在、香港にほど近い広州からチベット自治区のラサに向かう特快列車(日本の在来線特急に相当)。走行距離は約5000kmだ。

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