JR北海道、青函トンネル事故に見えた教訓 地の底で直面したトラブルにどう向き合うか
北海道と青森を結ぶ青函トンネル内で走行中の特急列車から煙が発生するというトラブルが4月3日に発生した。幸い、124人の乗客にケガはなかった。
2011年に石勝線で起きた脱線火災事故以来、一向にトラブルが減らないJR北海道で、またもや発生した不祥事。煙が発生した原因については現在社内で調査を進めているが、それ以上にトンネル内の避難対応をどう行うかという問題があらためて浮き彫りとなった。
開業27年で顕在化したリスク
海面下240メートルを走る青函トンネルの全長は53.85キロメートル。山手線(全長34.5キロメートル)を1周半するよりも長く、道路・鉄道用の海底トンネルとしては世界最長だ。トンネルの所有者は鉄道・運輸機構で、JR北海道が管理を行っている。
1988年の開業から27年。寝台特急「北斗星」「トワイライトエクスプレス」から貨物列車に至るまで、青函トンネルは旅客と物流の大動脈として機能してきた。これまで目立ったトラブルはなかったが、今回のような事故発生リスクはつねに懸念されてきた。来年3月の北海道新幹線開業を前に、リスクがついに顕在化したことになる。
むろん、JR北海道も以前からリスク対策を講じている。青函トンネルには安全対策用の施設が2カ所設置されている。青森側の竜飛海底駅、北海道側の吉岡海底駅だ。これらは、2014年までに駅としての役割は終え、現在は避難設備の機能を持つ「竜飛定点」「吉岡定点」として活用されている。ここにはベンチ、トイレが設置されているほか、防寒シート、飲料水なども配備されている。
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