北海道新幹線、なるか「札幌開業前倒し」 2016年函館開業へ向け走行試験を開始

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北海道新幹線の車両、紫のラインが北海道を象徴している

緑と白で彩られたロングノーズがゆっくりと車庫から姿を現した。北海道新幹線H5系の先頭車両だ。

製造工場から海上輸送で運ばれた車両は10月13日に函館港に陸揚げされた。建設中の新函館北斗駅に近い新幹線車両基地に1日2両ずつ、5日間かけて運び込まれ、車体と台車の接続や車体間部品の設置など組み立て作業が行われた。

11月1日午前9時20分。この日から始まるブレーキやモーターの機能確認試験に先立ち、10両編成のH5系が初めて報道陣に公開された。北海道民にとって待ちに待った瞬間である。

車両を彩る緑と白の間には細い紫のラインが敷かれている。紫は北海道を象徴するライラックやラベンダーの色である。JR東日本の東北新幹線のE5系はこの部分がピンク色だ。ラインがピンクから紫に変わっただけで、ずいぶん気品のあるデザインになった。

「E5系をベースにデザインすることが決まっていたので、当社独自にデザインする余地は限定されました。それでもこのデザインは多くの人に喜んでいただいています」と、新幹線を運行する JR北海道・新幹線計画部の本田竹止主幹は顔をほころばせる。

2016年開業へ向け急ピッチで作業

H5系は全部で4編成製造される計画で、現在までに2編成が導入済み。1カ月間、車両基地内で機能確認試験を行い、問題がなければ12月1日から奥津軽いまべつ―新函館北斗間で走行試験が始まる。「ふた冬を走行試験にあてる。今冬は奥津軽いまべつまでしか走らないが、来年度は新青森まで走る」(本田氏)。

JR北海道では在来線レール異常の放置などの不祥事が相次ぎ、一時は新幹線開業に向けてスケジュールの遅れが懸念されていた。2016年春という予定どおりの開業に向け、急ピッチで作業が進んでいる。

11月1日の午後、高橋はるみ北海道知事や鉄道・運輸機構の石川裕巳理事長をはじめ、北海道新幹線のほぼすべての関係者が木古内(きこない)駅に顔をそろえた。新青森―新函館北斗間149キロメートルのレール敷設工事の完了に伴うレール締結式が行われたのだ。

軌道内に降りた関係者たちが線路のボルトを締め、作業は完了。これによって東京から新函館北斗まで新幹線のレールで結ばれた。

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