北海道新幹線、なるか「札幌開業前倒し」 2016年函館開業へ向け走行試験を開始

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木古内駅で行われたレール締結式

壇上で挨拶に立った与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム長の町村信孝衆議院議員(北海道5区)は、「東海道新幹線の開業から50年遅れて、ようやくここまで来た。東北新幹線によって東北が発展し、いよいよ北海道の番だ」と感慨深げに語った。

ただ、新幹線が新函館北斗止まりでは北海道への経済効果は限定的だ。やはり札幌まで延びてこそ、効果は最大となる。

自民党は札幌開業の5年前倒しを検討

札幌開業は2035年の予定だが、与党・自民党は5年程度の前倒しを検討中だ。北陸新幹線や長崎新幹線の開業前倒しと合わせ、前倒しに必要な費用は5400億円と試算されている。その財源として整備新幹線新規着工3路線のJRへの貸し付け料や上場を目指すJR九州の株式売却代金などの活用が政府・与党のワーキンググループで検討されている。

財務省は「前倒しの効果がしっかりと示される必要がある」として慎重な姿勢を崩さない。年末ごろに固まる2015年度予算編成に向け、関係者間の駆け引きが続いている。「21年先となる札幌延伸を少しでも早く実現したい」と町村氏は熱意を込める。

北海道新幹線の歴史に残るその日の夜、JR北海道の千歳線では乗務中の車掌が居眠りをするという失態を犯した。その翌々日の3日朝には宗谷線で運転禁止基準値を超える強風が吹いていたにもかかわらず、担当社員が運転中止の指示を出さず、特急列車が運行を続けていた。JR北海道のトラブルは止まらない。

新幹線にかかわるスタッフは徐々に増えており、開業時には400人に達する予定だ。こと新幹線に対しては、JR北海道は万全の体制で臨んでいる。だが、在来線で今なお頻発する人的ミスを見ていると、新幹線で同様のミスが生じないか心配になる。その疑問に対する回答は、在来線のミスをなくすことでしか得られない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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