日本人はメタバースが起こす変化を知らなすぎる 私たちの日常と完全に融合する日が来る可能性も

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オープンメタバースにはいくつかの段階があると考えられていますが、少なくとも、デジタルアセット(資産)の保有・取引にブロックチェーンを活用することにより、NFTマーケットプレイスなど外部サービスと相互運用できる状態を実現しているサービスはすでに存在します。

しかし、メタバースサービス相互で連携を図るようなケースはまだまだ少なく、たとえばアバターの規格の共通化など、相互運用性を実現するための前提となるさまざまな事項についての検討・模索が続けられています。今後は、現在のクローズドメタバースが進化する形で、オープンメタバースが登場すると思われます。

リアルを超える体験をもたらすメタバース

メタバースが普及し、発展していけば、さまざまなことが実現できるようになります。メタバースが私たちにもたらすものは、端的に言えば「現実(リアル)を超えた体験」です。現実をコピーしたような空間ではなく、現実では不可能なことができる空間、それがメタバースなのです。

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たとえば、現実では狭い家の中にいるのに、メタバースにアクセスすれば、世界中の行きたい場所に行けるようになるでしょう。また、コンサートなども、現実では見ることができないような場所から体験することができるようになります。

そして、教育の現場でも、AI(人工知能)との組み合わせによって、現実では対応できないようなきめ細やかな教育を受けることができるようになります。

メタバースでは、同じ世界観を持った空間をさまざまなバリエーションで体験できるようになるかもしれません。

たとえば、東京都心の街並みを完璧に再現することを狙ったメタバース空間を用意して、その時代設定をいろいろな過去に変更することで、バブル期の東京、明治初期の東京、江戸時代の東京など、地理的なデータを共通化しつつ、さまざまな世界観を楽しむことができるかもしれません。

また、同じ空間を通常のコミュニケーション用途に用いたり、サバイバルゲーム用に用いたりと、シチュエーションに合わせたさまざまな形態で利用できるようになるかもしれません。

増田 雅史 弁護士(森・濱田松本法律事務所)、一橋大学特任教授

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ますだ まさふみ / Masafumi Masuda

理系から転じて弁護士となり、IT分野を一貫して手掛ける。スタンフォード大学を経て、ニューヨーク州弁護士としても登録。特にブロックチェーン分野やゲーム・ウェブサービスへの豊富なアドバイス経験を有する。近時はWeb3・メタバース分野に注力し、「政・官・産・学」あらゆる面で法実務・法政策に関与。一橋大学大学院にて「Web3・メタバースと法」開講予定。ベストセラー『NFTの教科書』はじめ、著作・講演多数。

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