ザッカーバーグ暴走?「メタ」内部はもうメタメタ 個人的野望の混乱で社員から漏れる不満の声
昨年10月、フェイスブックの最高経営責任者マーク・ザッカーバーグは社名をメタに変更し「メタバース企業」になると宣言。何年か先の未来では何十億という人々が何時間もぶっ続けでデジタル環境に没入、仮想世界と拡張現実の中で仕事をし、社交を行い、ゲームをプレイするようになるというユートピア的なビジョンを提示した。
それからの1年でメタはザッカーバーグの夢を実現可能なものとするべく、100億ドル(約1兆4600億円)を超える資金と何千人という従業員をメタバースに振り向けた。しかし、その滑り出しは多難なものとなっている。
バグだらけで「品質ロックダウン」
メタがフラッグシップと位置づける仮想現実(VR)ゲームの『Horizon Worlds(ホライゾン・ワールド)』は、依然としてバグが多くて人気がないため、バグ修正のための「クオリティー(品質)ロックダウン」を今年末まで続けなければならない状態となっている。
従業員からは、一貫した計画ではなく、ザッカーバーグの思いつきとみられる頻繁な戦略シフトに対する不満が噴き出すようになっている。
幹部の間でもメタバースの戦略をめぐって軋轢が生じている。ある上級責任者は、根拠の不確かなプロジェクトに巨額の資金を投じたことに対し「吐き気がする」と不満をあらわにした。
メタが事業転換に苦戦する様子は、十数人を超えるメタ従業員・元従業員への取材、およびニューヨーク・タイムズが入手した内部のやりとりから明らかとなった。取材対象は社内の事情について語る権限を持っていなかったため、匿名を条件に内部事情を明かした。