ザッカーバーグ暴走?「メタ」内部はもうメタメタ 個人的野望の混乱で社員から漏れる不満の声
フェイスブックにおける政治的投稿の扱いをめぐる決定で不興を買い、何年にもわたって厳しい視線にさらされてきたザッカーバーグは、自らのパブリックイメージの刷新を決意。メタバースを推進するイノベーター(革新者)の顔に自身を据えたことで、一部の従業員を驚かせている。
メタの最新メタバース技術のデモやモックアップには、ザッカーバーグが自らの趣味であるフェンシングやハイドロフォイルと呼ばれるサーフィンに似たウォータースポーツを仮想空間で披露する映像が使われている。
ザッカーバーグの関与は、ときに逆効果となっている。8月、ザッカーバーグは自身のフェイスブックページに『ホライゾン・ワールド』における自らのアバターのスクリーンショットを投稿、同アプリがフランスとスペインに進出するという発表を行った。ところが、このアバターはマンガのような平板な見た目だったため、辛辣な嘲笑にさらされた。
「VR会議」の号令に従業員は大慌て
アバターをバカにされると、ザッカーバーグら幹部はアバターの見栄えを優先して改善するよう従業員に指示を飛ばした、と2人の従業員は語った。前出の広報担当者ストーンは、アバター事件に対するザッカーバーグの反応には「問題があった」としながらも、詳細には立ち入らなかった。
この2人の従業員によると、ザッカーバーグのアバターが出演する新バージョンの映像制作は急ピッチで進められたという。
最初の投稿から4日後、ザッカーバーグはアップグレードされたアバターを公開。最初のアバターは「かなりベーシック」なものだったと認めつつも、「ホライゾンのグラフィックスではもっと多くのことが可能だ」と述べた。
メタのグラフィックアーティストの1人はリンクトインの投稿で、同氏のチームでは最終バージョンが承認されるまでの4週間で、ザッカーバーグの顔を40バージョンもデザインしたと主張したが、この投稿はその後、削除されている。
ザッカーバーグのメタバース熱を冷ややかに見ている従業員は少なくない。ザッカーバーグは今年、メタの「Horizon Workrooms(ホライゾン・ワークルーム)」で会議を行うよう各チームに促した。ユーザーが仮想空間の会議室に集まることを可能にしたアプリだ。
ところが、VRヘッドセットを持っていなかったり、セットアップを済ませていなかったりした従業員は多かった。そのため多くの従業員が、そのことを管理職に悟られまいとヘッドセットの購入や登録に奔走することになった、と事情を知るある人物は明かした。