天気や世間話は卒業、「雑談がうまくなる」話し方 日本人の挨拶は、社交辞令と演技と決まり文句

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日本語の「雑談」には、テーマを定めない「とりとめのない会話」というニュアンスがありますが、それが成立するのはプライベートな場合に限られます。ひと口に雑談といっても、プライベートとビジネスの場では、明確に区別して考える必要があります。

雑談を通じてラポールを作る

世界の第一線で活躍するビジネスマンは、明確な意図や目的を持って、雑談を「武器」として活用しながらビジネスの相手と対峙しています。思いつきの世間話でお茶を濁すのではなく、あらゆる角度から検討して、可能な限り「戦略的」に雑談を構成しているのです。

彼らが雑談を通して「手に入れたい」と考えているのは、次の3つのことです。

①お互いに「信頼」できる関係を築く
②お互いが「信用」できることを確認する
③お互いを「尊敬」できる関係を作る

雑談を通して、「信頼」と「信用」「尊敬」のある関係を築いて、心理学でいう「ラポール」を作ることを目指しています。ラポールとは、お互いの心が通じ合い、穏やかな気持ちで、リラックスして相手の言葉を受け入れられる関係性を指します。

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世界のビジネスマンは、目の前の相手とラポールを作ることを目指して、そこに向かって雑談を組み立てていきます。

ビジネスの場の雑談ですから、最終的な目標が成果を出すことにあるのは当然ですが、そのための第1ステップとして、雑談を上手に活用しているのです。

日本のビジネスマンも、相手と信頼関係を築くことを狙って雑談をしていると思いますが、ここまで明確にイメージしている人は少ないように思います。天気の話や思いつきの世間話でラポールを作るのは、不可能に近い作業です。

その場の雰囲気は和やかになったとしても、それが求めているような成果に結びつくことは至難の業です。

日本的な雑談を否定するつもりはありませんが、今日のような変化の激しいビジネス環境で結果を出していくためには、考え方を改める必要があると思っています。

ピョートル・フェリクス・グジバチ プロノイア・グループ株式会社代表取締役、株式会社TimeLeap取締役、連続起業家、投資家、経営コンサルタント、執筆者

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​Piotr Feliks Grzywacz

ポーランド出身。モルガン・スタンレーを経て、Google Japanでアジアパシフィックにおける人材育成と組織改革、リーダーシップ開発などの分野で活躍。2015年に独立し、未来創造企業のプロノイア・グループを設立。2016年にHRテクノロジー企業モティファイを共同創立し、2020年にエグジット。2019年に起業家教育事業のTimeLeapを共同創立。ベストセラー『ニューエリート』(大和書房)、『パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう』(かんき出版)など著書多数。

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