「ロボットが自動走行して配達」が日常になる日 ロボと人間の"新しい関係性"とは?

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どこを改良すれば使う側の違和感をなくせるのかは、実際に使ってみた人に聞いてみないとわからない部分があります。

なので、『cocoropa』のようなプロトタイプ版であっても公式ホームページに積極的に公開し、ユーザーの反響や声を集め、開発に生かしています。

「まだプロトタイプ段階の製品を公式HPで公開することはパナソニックのような企業にとってはめずらしい。開発メンバーの顔とコメントも載せているので、開発者の工夫や挑戦を知ってもらえるとうれしいですね」と安藤さん

また、人間とロボットの関係性を考えていくと、例えば、離れていても「ともに居る(共在する)」感覚が生まれるのはどんな心理にもとづくのか。

人間は他者との関係性をどう築いてきた生き物なのか。他者と共在することは人間にとって幸せなのか。ひいては、人間にとっての幸福とは何なのか。

ロボット開発に取り組むエンジニアはそうした概念にも向き合う必要があるので、人類学や人文学の研究者の方々とディスカッションしながら、開発に取り組んでいます。

ロボット開発を通じて、人間の可能性を探求する

──安藤さんご自身は、どんな点にロボット開発の魅力を感じていますか?

(写真:赤松洋太)

ロボット開発の最大の魅力は、テクノロジーを通じて、人間の身体や環境に物理的にアプローチし、人の役に立てることです。

私自身はもともと、ロボットや機械そのものが好きでこの道を選んだわけではないんですよ。

──安藤さんがロボット開発の道に進んだきっかけは?

大学院で修士過程に進学するにあたってどんなテーマを研究しようかと教授に相談したときに、教授が「ぽっくり死ねる技術があったらいいね」ってふとおっしゃったんですよ(笑)

要は、死ぬときに幸せだと思って死ねたらいいけど、死ぬときにしんどかったらしんどい人生で終わってしまうから、それが避けられたらいいよねと。

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