「ロボットが自動走行して配達」が日常になる日 ロボと人間の"新しい関係性"とは?

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──実証実験をするうえでとくに課題になったのは、どんな点でしたか?

「12月の丸の内」での実施を決めたため、時期性と地域性からくる難しさはありました。

クリスマスシーズンの丸の内エリアには、いつも以上に多くの人出が予想されます。

『ハコボ』が路上で人にぶつからないのは大前提ですが、セーフティーゾーンを広く取りすぎると逆に走行できなくなってしまう。利便性と安全性を両立させるために、自動運転機能においては高い技術レベルが求められました。

加えて、丸の内は高層ビルに囲まれていてGPSが届きにくいので、『ハコボ』自体が周囲の状況をセンシングして動かなければなりません。

ところがクリスマスシーズンとなると、街を彩る広告や店舗のディスプレイががらりと変わるので、位置情報のデータ収集も一筋縄ではいかず(笑)

こうした状況で安全な自動運転を実現するのは、空港内やレストラン内など不確定要素の少ない空間と比べて難易度が高かったです。

ロボットがいる体験が、ウェルビーイングにもつながる

──改正道交法の施行に伴い、街中でロボットが活躍するシーンも増えていきそうですよね。『ハコボ』のように街で働くロボットに求められるものは、今後どのように変わっていくと思いますか?

(写真:赤松洋太)

これまでロボットが活躍する場所は工場などに限られていて、そこでは同じ形のモノをいかに早く大量に生産し、運べるかといった生産性や効率性の部分に価値が置かれていました。

ただ、街や家の中で活躍するロボットに求められるのは、それだけではありません。例えば、もともと人間が持ってるスキルや感性をもっと引き出すための補助をするとか、人間の能力を拡張するための存在になっていくと思います。

すると、物を運ぶ、アイデアを表現する、コミュニケーションを取る……いろいろなシーンでやりたくてもできなかったことができるようになる。「ロボットがいたことで、新しくこれができるようになった」という体験が増えて、暮らしや仕事におけるウェルビーイングにもつながっていくはずです。

次ページエンジニアの「想像力」でロボットと人間の新しい関係をつくる
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