高校時代に最速151km/hを計測し、専門誌にドラフト候補と挙げられた一方、甲子園未出場で注目度は決して高くなく、2016年ドラフト4位でオリックスに入団した。
そこから日本代表まで登り詰めた山本だが、WBCでチームメイトのダルビッシュや大谷、佐々木と並ぶとかなり小柄に映る。
実際、2022年に日本のプロ野球に在籍した全投手の平均身長は181.9cmで、178cmの山本はそれを下回っている(育成選手を含む。データはYahoo個人「現役プロ野球選手の『身長・体重ランキング2022』。身長差は40cm近く、体重差は50kg以上」より)。
そんな投手がなぜ、高卒6年で「日本最高投手」と言われるまでになれたのか。
根底を支える「BCエクササイズ」という取り組み
技術的に言えば、秘訣は右腕を大きく伸ばすようにしてから投げる投球メカニクスにあり、その根底を支えるのが「BCエクササイズ」という取り組みだ。
山本が行っているブリッジの動画がよく知られるが、「ブレス」(呼吸)や「バー」という棒に乗った基本的なエクササイズから、派生系を含めると300種類以上ある。
山本が師事するキネティックフォーラムの矢田修トレーナーが開発したもので、難度が高くてプロ野球選手でもできないメニューもあるという。
BCエクササイズの詳細はマニアックになるので本稿では割愛するが(詳細を知りたい人は拙著『山本由伸 常識を変える投球術』を参照していただきたい)、簡潔に言うと「身体知」を大切にしようという考え方の下にある。自分の身体の声に耳を傾けようというものだ。
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