「老舗の不祥事」賢いダメージコントロールとは 顧客プライバシー保護が甘かった「池田屋事件」

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宿泊者の情報が漏洩し「御用改め」されてしまった池田屋に、もし今の時代のような広報がいたとしたら…?(写真:テツテツさん/PIXTA)
企業の広報担当者にとって、プレスリリースの書き方やトラブルが生じた際の危機対応などが学べる最高の教材があります。それは日本史です。誰もが知る有名な事件であれば、事案の背景説明は要りませんし、事の結末が分かっているのですから、本来どう対応すべきであったかなどプロの広報ならすぐ分かります。いわば「後出しジャンケン」と同じで、広報対応としては“勝って当たり前”なのです。そこで今回は現役広報パーソンの著書『もし幕末に広報がいたら 「大政奉還」のプレスリリース書いてみた』より一部引用・再構成して、かの「池田屋事件」を題材にしてプレスリリースの書き方を学びます。

新撰組が京の宿に押し入り尊攘派を襲撃

「池田屋事件」といえば、幕末の重大事件の一つに数えられるでしょう。京都市内の旅籠(はたご)である「池田屋」に、尊王攘夷(じょうい)派の志士たちが集結するという情報がリークされ、京都守護職の下で尊攘派の弾圧を主な任務としていた新撰組がこれを襲撃。多くの尊王の志士がここで落命し、尊王攘夷の道は一歩後退。逆に新撰組は浪人出身の隊でありながら、京都の治安を守ったという評価を得る……とまあこういう話かと思います。もしこれが現代であれば、そもそも宿泊客のプライバシーを守れなかった池田屋はもっと批判を受けてもよいのではないでしょうか。

例えば私が帝国ホテルに電話をかけます。「そちらに本日、桂小五郎さんは宿泊されていますか?」といくら聞いても情報は絶対に出さないと思います。あるいは「桂小五郎さんの部屋番号を教えてください」と言っても、こちらも絶対に教えてはくれないでしょう。

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