目の表面を保護する涙や、油分を分泌する涙腺やマイボーム腺は男性ホルモン支配であるため、男性ホルモンの少ない女性はもともとドライアイになりやすい。さらに、男性ホルモンは、加齢とともに低下していくためにドライアイになりやすくなる。
一方、目の病気によるドライアイの代表的なものは、シェーグレン症候群、関節リウマチなど膠原病をはじめとする自己免疫系の病気や、スティーブンス・ジョンソン症候群などだ。
ドライアイの3つのタイプ
ドライアイは目が乾く仕組みによって「涙液(るいえき)減少型」「蒸発亢進型」「水濡れ性低下型」の3タイプに分かれ、それぞれの治療法が変わってくる。
涙液減少型は涙の量が少ないタイプ、蒸発亢進型は目の表面を覆う涙の膜のなかの油層の量が少なかったり、質が悪いタイプだ。水濡れ性低下型は近年、新たに加えられた概念で、涙が目の表面にとどまりにくいタイプ。ムチンの異常が指摘されている。
なお、ドライアイと診断された人のなかに、「マイボーム腺機能不全症」と言われたことがある人もいるかもしれない。これはまぶたの裏にあって目の表面に油分を分泌するマイボーム腺の油が通る道の出口が詰まることで起こる病気。蒸発亢進型のドライアイの原因にもなるが、ドライアイそのものとは異なる病気だ。
3タイプのうち横井さんが注目しているのは、水濡れ性低下型だ。
「黒目(角膜)表面の、涙を引っ付ける力が落ちている状態です。涙の膜が短時間で壊れてしまうため、ピントを合わせようとするとものすごく目が疲れるのです。若い人の眼精疲労の原因としても重要です。当院のドライアイ専門外来に紹介されてくる難治性のものは、この水濡れ性低下型ドライアイが多いです」(横井さん)
このドライアイ、予防するにはどんなことが必要か。
横井さんは「目を乾きやすくする環境要因であるパソコン、エアコン、コンタクトレンズという『3つのコン』に注意しましょう。これらは、水濡れ性低下型ドライアイ以外のドライアイにおいてもドライアイを悪化させるリスクファクターになるので、特に注意が必要です」と話す。
では、ドライアイの検査・治療はどのように行われるのか。
まずは検査で特に重要なのが、「フルオレセイン染色」だという。
前述した目の表面の涙の膜の壊れ方をみる検査で、3回行う検査のうち、すべてで5秒以内に涙の膜が壊れたら、黒目の部分を染色して表面のパターンをみる。これによりドライアイのタイプがわかるそうだ。
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