「不登校なんてへっちゃら」現役校長が断言する訳 学校に行かなければ勉強できないなんて思い込み
でも、これまでのところ、僕と出会ったみんなは「大丈夫です。よろしくお願いします」と言って、卒業していきました。そして、学校のすべての課程が社会に出るために必要ではないことは、立派な大人になった不登校の生徒たちが証明してくれています。
学校は「人が社会の中でより平和で幸せに生きていくための方法を学ぶ場所」です。
だから、僕はその結果として、学校で学んだ子どもたちが将来「より幸せな社会をつくる」ことに貢献できるようになってほしいと考えています。
ここで勘違いしてほしくないのは、学校に来ることは、社会の中でより幸せに生きていけるようになるための1つの「選択肢」にすぎないということ。だから、大事なのは学校に来ることそのものではありません。
君や君の友達、同級生がなにかの事情で学校に来ることができなくなっても、世の中にはたくさんの学びの場があります。どこにいても人とのつながりはつくれるし、勉強だってできるし、より幸せに生きていける大人になれるのです。
昆虫図鑑でだって、国語は学べる
僕は、経済産業省が主催する「『未来の教室』とEdTech(エドテック)研究会」という会の委員をしています。以前、そこで「子どもたちと大人で一緒に『未来の教室』を考えよう」というワークショップを行いました。
そのとき出会って印象に残っているのが、園芸高校に通いながらバイオテクノロジーの研究をしている高校生です。
彼は小学生のころ、病気で長期間の入院生活をよぎなくされ、ほとんど学校に行くことができなかったそうです。
国語、算数、理科、社会。実際に授業を受けた時間はわずかで、あとは大好きな昆虫のことが書かれた本や図鑑を読み続けていたと聞きました。
彼は「国語は昆虫図鑑で学びました」とも言っていました。
その後、中学校にはまずまず通えるようになり、大好きな生物の分野を生かして園芸高校に進学。いまはバイオテクノロジーに関する研究ができるのが楽しくてたまらない、とうれしそうに話してくれました。
彼がこの先、どんな人生を歩んでいくのかはわかりません。でも、僕は彼と話していて「彼は本物の学びの楽しさを知っている」と思いました。
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