「男として終わった」更年期障害に悩む50代の深刻 欧米諸国と比べて「ED」になるケースも多い

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男性の更年期症状問題に長年かかわってきた医師に、男性特有の問題点を聞いたところ、うつ病と症状が似ていることから精神科を受診し、適切な治療を受けていないケースや、職場はおろか妻にも内緒にしている人も多いそうです。

また、「男性の場合、症状を軽く報告しがち。なんとかしたいという気持ちはあっても、会社を休みたくない、会社に知られて評価を下げたくないという思いが強いんだろうね」と話していました。

夫が原因で妻は不調になる?

一方、熟年期の女性の体調不良や更年期症状の原因のほとんどは夫とする、「夫源病」という衝撃的な症状を提唱したのは、医師で大阪大学招へい教授の石蔵文信さんです。

石蔵先生は、全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を2001年に大阪市内で開設し、悩める男性だけではなく、夫をケアする妻の悩みにも耳を傾けてきました。

その中で、夫の何気ない言動に傷つき、耐えることで、妻の更年期症状が悪化しているというリアルに直面したそうです。似たような現象は、健康社会学の分野でも確認されています。「スピルオーバー」です。

これは、職場でのストレスと家庭でのストレスがそれぞれの界面を越えて相互に影響を及ぼす現象を表します。たとえば、夫(妻)が職場でストレスを感じていると、それが家庭で妻(夫)に伝染し、夫の代わりに妻がうつになるといった具合です。

スピルオーバーは、妻が専業主婦で夫に献身的であるほど、そして夫が亭主関白であるほど、会社でのストレスが妻に伝染しやすいとされています。以心伝心ならぬ、以心伝体。

「私」は常に私の半径3メートル世界の影響を受け、「私」自身も半径3メートル世界に影響を与えていますが、「夫(妻)」のネガティブな感情は、妻(夫)の健康を脅かすほどの威力をもっているのです。

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