分量を減らすだけならまだいいが、コストを削るため材料の質を下げたり、調理に使う油を変更したり、目に見えない「改悪」がされているケースもあるだろう。価格を維持しようとするあまり、不利益を被るのは消費者側なのだ。しかし、消費者の給料が上がらず貧しい日本が続く限り、「ステルス値上げ」はなくならない。
「よいステルス値上げ」はあるのか?
相次ぐ値上げへの対抗策として、ナショナルブランド(NB)商品より、プライベートブランド(PB)商品を買う消費者は増えている。
しかし、いくらPBとはいえ、原材料や梱包資材、エネルギー価格高騰の影響を受けないわけではない。タイミングを見つつ、値上げもしくはステルス値上げに本格的に移行する日は来るだろう。
しかし、そうした改定を逆手にとってアピールする企業も。昨年9月にセブン&アイが発表した新しいPBブランド「セブン・ザ・プライス」がそれだ。「セブンプレミアム」の新たなブランドで、イトーヨーカドー、ヨーク、セブン‐イレブンにて発売を開始している。
新PBは次のような手法で「安さ」をアピールしている。いわく、
2:物流と生産効率をあげて価格に還元
3:納豆のたれやからしを入れていない等のシンプルな商品作りを追求
というもの。このように「安さの理由」を明快にしてもらえると、消費者は「品質は下げていないのね」と納得しやすい。
では、「いいステルス値上げ」はあるのか。先の山崎「薄皮パン」のように、「個数は1つ減らしましたが、1個当たりを増量しています」と言われれば、「では許そう」と支持を得られやすい。
値上げを訴える企業のリリースには、「コストは当社の改善幅、改定幅を超えて上昇」「企業努力によるコスト上昇分の吸収が限界」「自助努力のみでは吸収が極めて困難な状況」と自社の苦境を訴える言葉ばかりが躍るが、それよりいっそ「食べきりサイズで新登場」や「ゴミを減らすシンプルな包装に変更しました」のような前向きなキャッチをつけて規格改定をアピールしたほうが印象もよく、容認されるのではないだろうか。
何にせよ、買い物に使えるお金が増え、「貧者の値上げ」に悩まされないことが一番なのだが。
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