そもそも食品は単価が安く、しかも購入頻度が高い。たまに買うものと比べ、10円でも上がれば消費者はすぐに気づく。「前より値段が高くなった」と感じると買い控えを招きかねず、メーカーとしてはなるべく値段を上げたくはない。
特に、人気の鉄板ブランドの値上げは強いマイナスの印象を与えかねない。それが商品離れにつながってはまずいので、価格はできるだけ変えずに内容量で調整したい。その苦肉の策が「ステルス値上げ」なのだが、やっかいなことに消費者の評判はよくない。
リサーチ会社アスマークのアンケート調査によると、通常の値上げとステルス値上げでは、後者のほうが食品・ブランドやメーカーのイメージが「悪い」と答える傾向が高くなる結果が出た。「前より減っていて損をした」「騙された気がする」と感じる人が多いのかもしれない。
注目はビールジョッキ
こうした実質値上げは、外食産業にも及んでいる。日ごろ、さまざまな店に行く中で、餃子が前より小ぶりになった、回転ずしのネタの種類が減った、なんて感じることはざらにある。
わかりやすく減った例もある。筆者がサイゼリヤに行くと必ず注文する「辛味チキン」は、コロナの影響で2021年11月から1皿5本が4本に減った。価格は変わらずのままでだ。そして、2023年になっても4本から戻ってはいない。
昨年12月にはスパゲッティの大盛りも終了した。理由は「品質の安定が困難」というもの。こちらはもともと上乗せ金額を払ってのメニューだったが、ファンの間ではショックも小さくない。
コンビニ弁当の容器が上げ底なのでは?と話題になったことがあるが、筆者が注目しているのは生ビール用のジョッキだ。店でビールを頼むたび、ジョッキの大きさと器の厚さ・形に目を光らせている。
瓶ビールと違い、店おのおののサイズのジョッキに入って出てくる生ビールだと、その量を注文する前にいちいち検証することはできない。パッと見の大きさは普通のジョッキでも、下に行くほど狭くなるじょうご型・砂時計型だったり、妙にガラスが厚ぼったく感じたりするときもある。
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