松平家が代々「強力な家臣団」を率いた背景事情 歴代当主に継承されてきた3つの大切な要素

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松平東照宮(写真: 200ok / PIXTA)

今年の大河ドラマ『どうする家康』は、徳川家康(松平元康)が主人公。主役を松本潤さんが務めている。SNS上では家康のほか、ドラマ内で描かれている家康の家臣たちにも注目が集まっている。今回の記事では、松平家・徳川家に仕えてきた家臣たちを取り上げる。

松平家・徳川家とその家臣たちとの関係については、江戸時代初期の旗本・大久保彦左衛門忠教がその著書『三河物語』で詳述している。

松平氏の始祖は慈悲深い人だった

松平氏の始祖とされる親氏(室町時代の武将)などは、民百姓や非人にも情けをかける慈悲の人であって、その情けは家臣にも当然向けられ、家臣たちは「燃える火のなかにも、ご奉公ならば、飛び入ろう」との想いを強くしたほどであった。

親氏は「寒くはないか、暑くはないか」とつねに家臣を労わり「近くに来て、膝を崩し、くつろげ」と優しい言葉をかけたという。だからこそ、家臣たちは、命を惜しまず戦いに臨む気構えとなったのだろう。親氏の子の泰親も、慈悲深い人であり、家臣の信望があつかったようだ。

泰親の次男とされる信光も、武勇・慈悲深さともに、先代に劣らぬ者であり、彼の跡を継いだ子の親忠も「家来・百姓・乞食・非人に情けをかけた」(『三河物語』)当主であった。よって、一大事となれば、百姓までもが竹槍を持ち、戦に駆けつけたという。

その後継者の長親も武芸・慈悲ともに優れ、あの北条早雲率いる軍勢にも引けをとらない戦いをした。ところが、その子・信忠は、突然変異のように『三河物語』では扱われている。

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