楽天、3700億赤字でも「状況は意外に悪くない」訳 決算の「5つの数字」で読み解く今後の行方
さてなぜ楽天のARPUが非常によいのかの謎を解くための鍵となる数字が、2022年12月の月間平均データ使用量が18.4GBだったという数字です。
楽天の試算によれば他の携帯キャリア3社の平均利用データ量は9.3GBですから、楽天のユーザーは他社の倍近くのデータを使用していることになります。これは日本のユーザーの中でもとりわけスマホのヘビーユーザーが楽天モバイルに移行していることを意味します。
他社の格安プラン、例えばNTTドコモの「ahamo」の場合、20GBまでは2970円ですが、それを超える「ahamo大盛」だと100GBで4950円/月に価格が増えてしまいます。KDDIの「povo」の場合はデータ追加トッピング60GBが6490円(90日間)とやはり増額になります。
ネットフリックスなどの動画を見たり、オンラインゲームにかなりの時間を使ったりするとすぐに1カ月 50GBを超えてしまいますから、他社のプランだと格安でも月額5000~6000円はかかるところを楽天モバイルなら2980円で済ますことができます。このあたりをデータのヘビーユーザーは敏感に感じ取って、いち早く楽天に移行したのでしょう。
ちなみに楽天モバイルも2021年12月段階ではこの1人当たりの月間データ使用量は9.5GBでした。要するにこの1年で、平均的なキャリアからヘビーユーザーに注目されるキャリアへと差異化のポジションが明確になったわけで、これは経営戦略的にはよい兆候です。
楽天の巨額赤字の中身はほぼ巨額な設備投資によるものです。自前の基地局網を構築することを決めた段階で、毎年3000億円規模で設備投資をすることが楽天の宿命になりました。
当初は「基地局が無い」「つながらない」と不評だった楽天モバイルのネットワークも、人口カバー率98%に到達しようやく完成形が見えてきた様子です。目標としていた全国6万1000超の数の基地局設置計画に対して、2022年12月の段階で5万2003カ所と目標の約85%まで到達しました。
すでに東京や神奈川、大阪など大都市部のカバーは進んでいましたが、最近では大都市圏周辺部でも基地局数がかなり充実してきました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら