楽天、3700億赤字でも「状況は意外に悪くない」訳 決算の「5つの数字」で読み解く今後の行方
今回の決算期について投資家がいちばん気にしていたことは昨年夏に楽天モバイルが決行した無料プラン終了の影響だったと思います。結果として楽天モバイルの課金ユーザー数は2023年1月の最新時点で452万人。思ったよりも減らなかったというのが楽天ウォッチャーとしての私の正直な感想です。
楽天は昨年の前半、2022年6月までは「1GBまで無料プラン」を掲げて新規ユーザー数を増やしてきました。
「とりあえず無料だから入ってみよう」というユーザーや「もしもの場合の予備回線として一回線確保しておこう」というユーザーが多ければ当然のことながら、収入は得られず、コストばかりがかかって経営の足をひっぱるわけです。
それで楽天は7月から無料プランを廃止しました。当時、楽天モバイルの自社回線(MNO)の契約者数は第1四半期段階で491万人だったのですが、無料プラン廃止にともなう解約の影響でこの数字がどこまで減るのかが心配されていたわけです。
無料プラン廃止の補償としてのポイントバックキャンペーンが10月末に終了し、その後は純粋に有料プランで加入しているモバイルユーザーだけが残ることになりました。
無料ユーザーが離れる一方で、新規に加入するユーザーもいたわけですが、トータルとしては約40万人が純減しただけで約9割のユーザーは残ってくれた計算です。状況としては足かせになっていた無料プランをかなりうまく廃止することに成功したと評価していい数字だと思います。
ARPU(アープ)はサブスクプション系のサービスを提供する会社にとって重要な指標で、1契約者からの1カ月あたりの収入を示す数字です。携帯電話大手のドコモ、au、ソフトバンクのARPUはだいたい4000円台なのですが、その牙城を崩すために楽天は非常に安価なプランで参入しました。
その楽天のARPUは最新の数字では1805円であることがわかりました。この数字は私の予測をいい意味で裏切った数字です。そもそも楽天の現在のプランである「Rakuten UN-LIMIT VII」は3GBまでが980円、そこから20GBまでが1980円、それ以上なら2980円という価格設定です。日本の携帯ユーザーは過半数が3GB未満の利用者ですから、このプランではそもそも高いARPUをとるのは無理だと私は考えていました。
実際、楽天モバイルの場合、その1年前の2021年第4四半期のARPUは614円だったわけで、当時はほぼ無料ユーザーと3GBのユーザーしかいなかったような状態だったわけです。それが直近で一気に1805円までARPUを上げてきた。これは非常によい兆候です。
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