経営哲学をうたって「社員を大切にする」とおっしゃっている方々は、私に言わせれば、実は行きすぎたリストラはダメという、費用対効果の話をしているだけなのです。「哲学」などと大風呂敷を広げると「損をしてでも正しいことをする」みたいなイメージが出てきますが、これは大きな誤解です。
どうしても経営哲学という、利害を超えた感を醸し出す言葉を使い、社員を大切にしたいとおっしゃるなら、その方は、自分の給料を限りなくゼロに近づけて社員に分配すればいいのです。利益を全部、社員に分配すればいいのです。
なぜそうしないのか? 答えは簡単です。経営者も経済的に満足したいし、会社も続けたいからです。もちろん、これを悪いと言っているわけではありません。もっともなことですが、であれば、経営哲学などという、働く人たちに誤解を与え、会社への依存心や忠誠心を高めさせるような言葉は使うべきではありません。「費用対効果に見合うように社員を大切にする」と言えばすむのですから。
要領よく出世する人たちは、この仕組みをよく理解しています。「会社の言う『人を大切にする』は、決して費用対効果の域を出ない」ということを理解し、会社との距離をしっかりと保っているのです。こういう人たちは、会社に過度な期待を持たないため、無駄なストレスをためることなく仕事をしています。だからこそ、出世できるのです。
会社はエグジットオプション付きのファシズムだ
そうは言っても、どうしても不満が消えないという場合は、どうしたらいいのでしょうか? 「夢も希望もない……」などと悲観する必要はありません。ここからは、どうしても今の会社の方針に我慢ができない人に向けて、アドバイスをしていきます。
企業で働くことは、ある意味でとても大変です。給料をもらっている以上は、自分の考えとは違っても会社の方針に従わなければなりません。表立って逆らえば、大変なしっぺ返しが待っています。
私はこれを「会社はファシズムだ」と表現しています。ですが、本物のファシズムとは、決定的に違う点があります。
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