会社を"見限っている"人のほうが出世する ドライな付き合い方を身に付けよう!

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まず「社員を大切にしない会社」とはどんな会社か、見てみましょう。

大切にしすぎても、ひどく扱いすぎてもダメ

「社員を大切にしない会社」として真っ先に思い当たるのは、教育投資をしない、時間外労働が多い、強引なリストラをする――などでしょうか。ブラック企業は論外ですが、多くの会社においては、法律的には問題ない場合がほとんどです。では、なぜこういう会社が「社員を大切にしていない」と言われるのでしょうか。

これらの施策は、人件費コストを下げる側面では効果がある一方、デメリットも多いからです。社員のモチベーションは下がり、企業の評判が悪くなり、いい人材が集まらなくなる。さらに、時間外労働などが過多になると、法的には訴訟リスクも高まります。最近の牛丼チェーンをめぐる一連の報道を見れば、明らかです。企業経営において社員を粗末に扱いすぎると、結局、損失を招きます

では逆に、社員を大切にしようとして「高い給料を払い、教育投資もし、人員計画にも余裕をもって人を配置する会社」であれば、社員は働きやすく、モチベーションが上がるかもしれませんが、人件費コストは大きくなり、経営を圧迫します

たとえば、牛丼チェーンが従業員1人で店舗運営を回すのをやめ、3人も4人もスタッフをそろえていたらどうなるでしょうか? また、社員に相場以上の給料を支払ったらどうなるでしょうか? 価格に跳ね返って売り上げが落ちるか、価格を据え置けばコスト倒れです。これも企業経営においては損失です。

つまり経営者は、社員のモチベーションや働きやすさと、それに要するコストのちょうどいいバランスで、社員を大切にしているだけなのです。要するに、メリットとデメリットをてんびんにかけた「費用対効果」の域を出ていないのです。社員を大切にしすぎても、社員をひどく扱いすぎてもいけない、というだけの話です。極めて当たり前の話です。

「経営哲学」の正体は「費用対効果」

こう書くと、ドライな考え方と言われるかもしれませんが、皆さんも株式投資をする立場になったら、きっと同じように考えるかと思います。株式投資をするとして、社員を過度に粗末に扱う会社、社員を過度に大切にする会社、あるいは費用対効果のバランスよく社員を処遇する会社の、どの株式を買うでしょうか? 答えは明らかでしょう。

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