一方、自費の介護サービスは事業所によっても金額が変わってきますが、1時間につき3000〜5000円程度で、夜間や早朝の対応は金額がさらに加算されるところが多いです。
A子さんは、両親の家の近くに住んではいますが、フルタイムで働きながら、育ち盛りの子どもを育てる母親でもあり、とくに平日は介護の時間を取るのがなかなか難しい現状があります。
週に一度は実家に顔を出し、両親の生活を見守っているA子さんですが、実は母親の尿漏れの事実を知ったのは最近のこと。「両親が尿漏れで困っている事実を、ずっと私に言わなかったんです」とため息をつきます。A子さんは、毎週実家に顔を出すたびに「何か困っていることはない?」と両親に聞いていたそうなのですが、両親は「ない」と答えていたため、困っている事実に気づくのが遅れたといいます。
老老介護は約6割、調査開始以降最多
高齢化が進むなか、自宅で介護を受ける人と介護者の双方が65歳以上の高齢者という老老介護は、年々増加傾向にあります。厚生労働省の調査(国民生活基礎調査、2019年)によれば、同居する家族や親族が自宅で介護をする在宅介護のうち、老老介護の割合は59.7%と、調査を始めた2001年以降、最も多くなっています。
こうしたなかで、子ども世代から聞かれるのが、「老老介護をする親が困っていることを、どうやったら引き出せるのか」という声。往々にして親というものは、子どもに迷惑をかけたくないという心理が働き、困りごとがあってもぐっと胸に秘めてしまいがちです。また、子どもがよかれと思って、いろいろと親に構うのを、親が嫌がる場合もあります。
子どもから見ると、老老介護をする親が大変そうであっても、親にしてみれば「老老介護ができている事実そのものが自信になっているのだから、邪魔しないでほしい」という場合もあるのです。一口に老老介護といえども、そこに込められた思いはそれぞれで、子どもに積極的にサポートしてほしい老老介護もあれば、本当に困るギリギリのところまで放っておいてほしいケースもあります。
こうしたことを踏まえて、なるべく早い段階から考えてほしいのが、年を重ねるにつれ、少しずついろんなことができなくなってくる親との関わり方。いざ老老介護が始まってから、親との関わり方を考えるのではなく、親が少しでも元気なうちから考えておくことをお勧めします。
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