「最期まで自宅で過ごしたい」に寄り添う
訪問看護師の内堀敬子(52)は、在宅医療はその病状によって、医療の隙間をうめる人が必要な場合もあると話す。
「私たちが利用者宅に滞在できる時間には限りがあるからです。藤井さんは、我慢できない痛みのつらさや不安から、夜間に電話をかけてこられることが多かったです。誰かにそばにいてほしい思いがひしひしと伝わってきました」
藤井の希望は最期まで自宅で過ごすこと。内堀は看取りも近いと考えていて、残りの1、2週間を自宅で安心して過ごしてほしかった。2021年8月末の話だ。
そこで藤井には、元看護師である看取り士の白瀧貴美子(56)と、夜間付き添いを加えた派遣契約を新たに結んでもらおう、と内堀は考えた。それなら心理面もふくめて夜間の痛みにも対応できる。
内堀も看護師として働きながら、看取り士資格を取得。開業医の夫と連携して、2021年5月うちぼり訪問看護ステーション「桜乃(さくらの)」を愛知県岡崎市で開業した。そして白瀧が代表を務める看取りステーション「なごやかあいち」と、看取りサービスについて業務委託契約を結んだ。全国で初めての試みだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら