辞めてほしくない部下が「退社を決断する瞬間」 いい職場風土にするために大切な「関係密度」

社員がやる気をなくす瞬間は、職場にあふれています(写真:USSIE/PIXTA)
入社したときはやる気がみなぎっていた人が、気づいたらやる気をなくしていく。期待をしていたのに、急に「辞めたい」と言われる。給与や労働条件など明確な理由がある場合も少なくないですが、退職の理由を上司がわからない、気づけない「不意打ち退職」も増えてきているといいます。
700を超える企業の職場風土の改善に携わり、1万人以上の働く人たちから話を聞いてきた、職場風土改善の専門家、中村英泰さんが上梓した『社員がやる気をなくす瞬間 間違いだらけの職場づくり』を一部抜粋、再構成してなぜ社員が突然やる気をなくすのか、その理由と解決策をお伝えします。
「瞬間」の積み重ねが、やる気を削る
社員がやる気をなくす瞬間は、職場にあふれています。たとえば、こんなとき。
「部長が急に朝礼で、『毎月1回、上司と部下が、面談をすることに決まりました。今月から実施するように』って言いはじめて……。うちの会社って中身を決めずに、とにかくノルマにしたがるんです」
「社長が突然、思いついたかのように『パーパス(目的や意図)が重要』って言い出して、翌週からなにをするにも『君のパーパスはなにか?』って、まるで合言葉のように、上司たちが連呼しはじめて……。パーパスの重要性をわかっている人なんて、絶対1割もいないですよ。そのとき、この会社ダメだって思ったんです」
「なんとか現状を変えようと提案をしたんですよ。でも、上司は事なかれ主義なのか、まったく取りあってくれなかったんです。なのに、あるとき役員との打ち合わせで『うちの部門はやる気が低くて、提案も上がってこないんです』って言っているのを聞いて、正直心が折れました」
こういった瞬間が積み重なり、我慢の容量を超えてしまったとき、社員の思いは職場を離れ、「転職」という選択に向かっていきます。
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