辞めてほしくない部下が「退社を決断する瞬間」 いい職場風土にするために大切な「関係密度」

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こんな経験はないでしょうか?

・本当はどうかわからないのに、寡黙な上司が、「怖くて近寄りがたい」と思われている経験
・これまでひと言もしゃべったことがない人と、たまたまプロジェクトで一緒になり、話しはじめたら、仲良くなったという経験

いずれにしろ、接触は関係性を築くうえで、他人から同志になるためにはなくてはならないものであり、接触の量がゼロで関係性を築くことは難しいものです。

その一方で、なんでもかんでも、頻繁に話しかけさえすればよいのかといえば、そうではありません。

接触の質が大切です。

・忙しいのに、どうでもいいことを話しかけられて、上司だからと無理に相手をした
・飲み会が、好きでもないのに「チームの結束を高めるため」という名目で、飲みに連れていかれて、うんざりした

これらは、実に質の低い接触です。

接触を試みている本人は、よかれと思ってやっているのでしょうが、質の低い接触がいくら重なっても「関係密度」は低くなっていくだけです。ことによっては、ハラスメントとして訴えられる可能性もあります。

社員同士の関係密度を高める「接触」

質の低い接触の主な特徴としては、次のようなものがあります。

・接触が自分本位で相手のことを考えていない
・TAKEばかりでGIVEがない
『社員がやる気をなくす瞬間 間違いだらけの職場づくり』(アスコム)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします 

2つを簡単にまとめると、自己中心的な接触です。

休日出勤した人に対して「昨日の休日出勤についての報告書、提出しておいて」と言われるのと「昨日の休日出勤どうだった? 本当に助かったよ、ありがとう。代休はとれそう? 調整するから言ってね。昨日のことは、あとで報告書にまとめて提出しておいてくれると助かるよ」と言われるのでは、受け取り方が違うのではないでしょうか。

このように、相手のことを思って、1つの会話に1つの言葉を付け足す。ほんの少しGIVEするだけで、随分と印象は変わるものです。

また、質の高い接触をするためには、次の5つのポイントを頭にいれておくことが大切です。

・社内にいる人を、他人ではなく、社員でもなく、同志と認める
・社内にいる人と、データではなく目的を共有する
・社内にいる人と、メールではなく対話をする
・社内にいる人に、私も一員だと認めてもらう
・社内にいる人と、雑談よりビジョンを語らう

これらを少し意識するだけで、随分と変わってきます。

ほかにも、職場の関係密度を高める方法や、やる気を削ぐ原因を遠ざける方法はいろいろあります。

職場風土を改善することで、やる気があり、成果も出やすく、働く喜びを感じることができる職場環境が生まれるはずです。

中村 英泰 職場風土づくり 代表取締役

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なかむら ひでやす / Hideyasu Nakamura

株式会社職場風土づくり代表。ライフシフト大学特任講師。1976年生まれ。東海大学中退後、人材サービス会社に勤務したのち、働くことを通じて役に立っていることが実感できる職場風土を創るために起業し、法人設立。年間100の研修や講演に登壇する実務家キャリアコンサルタント。

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