辞めてほしくない部下が「退社を決断する瞬間」 いい職場風土にするために大切な「関係密度」

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会社を辞める人があとをたたないのは、「やる気をなくす瞬間」が職場にあふれかえっていることが原因のひとつです。最終的に「もう辞めよう」と決断する瞬間は、実は大きなきっかけとは限らず、こうした小さいけれど、頻繁に起こる「やる気をなくす瞬間」のひとつだったりします。

やる気を上げる2つの要素

そもそも、辞めるつもりで入社する人はいません。ですから、転職は本人にとっても不本意な選択になっているケースが多々あります。社員のやる気がなくなる瞬間をできるだけなくすこと、そしてやる気が上がる職場風土を作ること、それが離職者を増やさないことや組織のパフォーマンス向上に大きく影響します。

では、社員のやる気はどうやって上げたらいいのでしょうか。

「やる気」を上げるものは大きく分けると2種類あります。1つが給与を上げたり賞与や役職を与えたり、職場の設備環境を改善したり、福利厚生や就業規則を整えたりといった物的側面です。これら物的側面からの「やる気」の向上は資金と、改善する意思があればどの企業でも整えられます。
これで全面解決となればよいのですが、実はもう1つ、やる気を上げるために大切なことがあります。それは、いい職場風土を作ることです。これは人的側面です。

社内の雰囲気、従業員同士の関係性、コミュニケーションのあり方、上司と部下間のパワー関係、仕事のストレスや満足度といったものが「やる気」に大きく影響しています。

物的側面からの取り組みは比較的短期間で対応可能ですが、効果は長続きしません。

一方、人的側面からの取り組みは、改善までの時間を要しますが、ひとたび定着すればその効果は持続します。

職場風土は、部署やチームの社員同士の長年の関係性によってつくられる、ある種の文化です。たとえば、活発に意見交換ができる職場なら、社員が互いに相談や連絡をかけあう声で、活気づいた職場風土になります。
ワンマンな上司がいる職場では、社員が上司の様子や機嫌をうかがったりする職場風土となります。

また、一切自分の仕事以外のことは考えない人ばかりだと、交わされる話は形式ばった、事務的なものに限られ、お互いにドライでどこか冷めた職場風土となります。

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