また、現在も会社員の傍ら「何者か」になるために曲を作り続けている池田さんは、有名な音楽事務所に楽曲を送るようになり、その曲が評価されて、作曲家事務所に面倒を見てもらえるようになりました。京大出身の音楽家にはなれなかったものの、夢であった作曲家になることができたのです。
それも人生の早期に挫折し、思い悩んだ浪人経験から身についた「 レジリエンス(困難に立ち向かい、その都度立ち直っていく能力)」のおかげであるそうです。
「もし僕が現役で京大に入れていたら、困難を避けて安定した道を進む、変化を楽しめない人間になったと思います。3浪したからこそ、何度失敗しても諦めず、困難に立ち向かうことができるようになったんだと思います」
「バルネラビリティ」と「レジリエンス」。苦悩も挫折も無為に過ごした時間も、すべてがこの2つの能力につながっていると彼は言います。今、自分が社会でやっていけているのも浪人のおかげであると。
現在は作曲活動をしている池田さん
「自分でやってきたことが今、線でつながっていると実感します。浪人は必然だったと思います」
現在も作曲家事務所を通じて、人気アイドルや有名歌手の作曲コンペに自分の作品を出し続けている池田さん。
「まだ到底作曲だけで食べていけるレベルにはなれていません(笑)」と謙遜していましたが、かつてアイデンティティーがなくて悩み、京大という学歴を身につけて作曲の仕事をしたいと思っていた少年は、浪人を通して、過去の経験を前向きに受け止める強い人間になっていました。
「自分が過去に挫折した経験が、自分にしかできない仕事につながっていくのかなと思います。それがアイデンティティーにもつながっていくのではないでしょうか」
挫折を乗り越えた青年は、確かな”個”を身につけていました。
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