「頭ごなし命令」ばかりの昭和上司がオワコンな訳 相手を傷つけずに意見を変えさせるフレーズ

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正論でも命令口調では受け入れられない(写真:プラナ/PIXTA)
能力は高いがプライドも高くて扱いにくい人を苦手にする人がいる一方、うまくやっていける人もいる。この違いはどこから生まれてくるのだろうか? 東京大学大学院で交渉学を学び、認知科学や知能を専門に企業の人材育成業を営む犬塚壮志氏によれば、こういった対人関係力は後天的に身につけられる「知能」の1つだという。犬塚氏の新著『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』から、頭のいい人が身につけている対人コミュニケーションの方法について紹介する。

感情先行型のコミュニケーションは逆効果

仕事でもプライベートでも、周囲の人と意見交換する中で、相手が出してきた意見や考え方がしっくりこないことってありますよね。イマイチ納得できない。でも、自分にもこれといった代案がない。うまく提案、説得ができずにモヤモヤ……。

ついつい「とにかくその意見はないわ」「やってみたら、わかるでしょ」など、命令口調で返してしまい、相手のプライドを傷つけることに。すると、前向きな意見交換のはずが、気まずい空気になり、相手との関係もギクシャクしたものになってしまいます。

私自身、予備校講師としての1年目は、何度もそんな失敗をくり返していました。うまくこちらの意図を言語化できず、でも「勉強してもらいたい」「成績を上げたい」という思いばかりが強く、生徒に命令ばかりしていたのです。

「試験対策に○○を絶対にやりなさい」

「なんで言われた勉強法をやらないんだ」

「この問題はまだやるなって、何度言ったらわかるんだ」

頭ごなしに命令するコミュニケーションで相手を動かそうとしたものの、進学校出身の生徒には通じません。彼ら、彼女らには小中高の受験で難関を突破した成功体験を土台とするプライドがあります。ですから、私の提案が正しかったとしても、上から目線の命令口調では受け入れてもらえなかったのです。

結果的に命令的な指示しか出せない私の元からは、どんどん生徒が離れていきました。学期初めに40人ほどいた生徒は、学期終わりに5名になってしまったクラスもあったほどです。

予備校講師は基本1年契約。私は「このままではクビになってしまう……」と焦り、相手のプライドを傷つけず、その人の考えや意見を軌道修正してもらい、こちらの提案する方向に動いてもらえるような交渉のスキル習得に努めました。

そして、数カ月の試行錯誤をくり返し、相手が自分から能動的に動き出す効果的なコミュニケーションの手法を編み出したのです。

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