「頭ごなし命令」ばかりの昭和上司がオワコンな訳 相手を傷つけずに意見を変えさせるフレーズ

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その手法は、生徒に問いかけながら、自分の考えを口にしてもらうというもの。

「今のやり方や勉強時間のままで、本当に志望校に合格できるかな?」

「勉強方法をどう変えれば、第一志望の大学に受かると思う?」

誰も試していない画期的なアプローチでも、会話の新発明でもありません。ポイントは、こちらの意見や考え、要望などを、相手には伝えないこと。そのかわり、問いかけ、考えてもらい、答えてもらうのです。でも、命令口調からこの手法にコミュニケーションの仕方を変えた途端、生徒たちは私の提案を受け入れてくれるようになりました。

相手を動かすには「伝える」ではなく「気づかせる」

この手法はもちろん、ビジネスシーンでも役立ちます。たとえば、仕事で後輩の意見を正したいとき、「その意見には反対だな。こうするべきじゃないか」と言うのではなく、「キミは、本当にその意見で完璧だと感じているかな?」と投げかけてみましょう。すると、部下は自分の意見について振り返り、「もう少し考えてみるか」「別の角度からも検討してみよう」など、進路変更してくれる確率が高まります。

同じような状況で「キミの意見は取り下げなさい」「その案には納得できん」と結論を伝えてしまうと、相手のプライドが傷つき、角が立ちます。大事なのは、相手が自ら自分の意見や考え、こだわりを引っ込めるよう促していくこと。その後、相手が代案を出すような「相手の口から言わせる流れ」 をつくっていくのです。

続いて、なぜ、この手法が効果的なのか。その理由を説明しましょう。

自己決定には「やる気スイッチ」と同じ働きがあります。一般的には、反対意見であっても会話の冒頭で結論を明らかにしたほうが、明らかにしない場合に比べて説得しやすいことがわかっています(O'keefe & Figge ,1999)。

しかし、相手の知的レベルが高い場合には結論を保留にしたほうがいい結果を生むのです。知的レベルの高い人は自信を持つ傾向があり、自分が出した意見や考えたことに対してプライドを持っています。そのため、他の人からの結論の押し付けを不快に感じる傾向にあるからです。

つまり、相手のプライドを傷つけないためには、結論を保留にし、考えてもらうことが効果的。そこで私は、問いかけることで相手が自らの意見を再検討する流れをつくる。この方法論を「結論保留モデル」と呼んでいます。

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