日本人は奨学金制度の「貧弱さ」をわかってない 貸与中心は世界の非常識、背後には構造的要因
現在、日本の大学生の2人に1人が、何かしらの奨学金を活用している時代です。
日本の奨学金は返済義務のある貸与型がほとんどでしたが、2017年に日本学生支援機構(JASSO)が返済を必要としない給付型奨学金を創設しました。現在は奨学金をもらっている学生の7割が貸与型で、残りの3割が給付型といった分布です。
給付型奨学金の総量は大体4000億前後で、その中でJASSOは1500億円~2000億円の間ぐらいと全体の半分弱を占めています。2023年現在、スタートして約6年ですが、JASSOの給付型奨学金はすでにかなりの規模になっています。2015年には給付型奨学金の総量は100億円くらいだったので、着実に給付型奨学金が増えていてこれは素晴らしいことだと思います。
しかし、それでもまだまだ日本の将来を担うべき若者の環境は厳しいと言わざるを得ません。給付型奨学金といっても、学費や生活費のすべてをカバーできるものはかなり限られています。欧米と比べると、学業に集中できる環境や金銭面で圧倒的な差がついてしまっています。今回の記事では、日本の給付型奨学金はなぜ少ないのか、欧米と比べてどう違うのか説明していきたいと思います。
アメリカと比べて圧倒的に貧弱な、日本の給付型奨学金
前提として、給付型奨学金はアメリカと比べて圧倒的に少ない現実があります。アメリカには5万~10万種類の給付型奨学金制度があり、これは日本の大体10倍くらいです。
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