ショパンコンクールの優勝者が語るライブの魅力 ブルース・リウ氏「レコーディングは化学実験」
ゾーンに入り、緊張を忘れて演奏を楽しんだ
——私はショパンコンクールをYouTubeで視聴しましたが、ブルースさんの演奏にはショーのような感じがあり、コンクールを受けているという以上に、聴衆を楽しませようとしている印象を持ちました。
実はかなり緊張してたんです。そう見えなかったかもしれませんが。
楽しませようとしているように見える演奏をしていたとしたら、それは意識的なものではなくて、僕の自然体の演奏がそういうものだということ。すごく緊張した一方で、ゾーンに入ると、緊張を忘れて楽しむことができました。
僕は趣味がいろいろとあってスポーツも好きなんですが、その中で培われた体の動きが演奏に表れていたというのはあるかもしれません。
例えば、ピアノは1つの音を弾いている間にその音に(音をだんだん強める)クレッシェンドをかけることはできない。だから、それは体で表現する。体の動きや振動から、聴衆に多くのものを感じとってもらうことができるはずだと思っています。
ショパンに取り組む前は、僕はどちらかというと考え方の固い人間でした。けれど、ショパンを弾くことで柔軟性が出てきた。動き方も太極拳と同じような感じで、柔らかな演奏ができるようになりました。
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