ショパンコンクール優勝者が語る演奏の本質 ブルース・リウ氏「ショパンは無限の可能性」

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「ピアノはたくさんある選択肢の1つ」と語るブルース・リウ氏(撮影:梅谷秀司)

世界3大音楽コンクールの1つで、5年に1度開催される「ショパン国際ピアノコンクール」。その第18回(2021年開催)で優勝したのがカナダ人ピアニスト、ブルース・リウ氏だ。

予選3ラウンドではすべての審査員から「イエス(=次のラウンドに進ませたい)」を獲得し、本選で演奏したピアノ協奏曲第1番も聴衆を魅了した。演奏技術の高さ、明るく新鮮なショパンは大いに注目を集めた。コンクール優勝を機に日本でも知られるようになり、来日公演のチケットは完売。2022年12月のリサイタルでは、ショパン、ラヴェル、リストの曲から成るプログラムに加え、アンコールで5曲もの演奏を行った。

リスト「ドン・ジョヴァンニの回想」の演奏が終わると、割れんばかりの拍手が送られた。続くアンコールでも、彼が1曲弾き終えるごとにスタンディングオベーションが起こった。最後の曲はリストの難曲「ラ・カンパネラ」。その演奏が始まって3音目、彼が演奏しようとする曲目が何であるのかに気づいた会場がどよめいた。聴衆の驚きと期待がコンサートホールに満ちていくような時間だった。

ピアノを始めたのは8歳。ピアニストを目指すには遅めだが、コンクールに出場するようになって以降、多くの高い評価を受ける。

カナダのモントリオール大学では、アジア人として初めてショパンコンクールで優勝したダン・タイ・ソンに師事し、個性を伸ばしながらショパンを学んだという。「ピアノはたくさんある選択肢の1つ」と語る25歳のピアニストは、今何を考えているのか。

音楽を弾く喜びやエネルギーを失わない

――ショパンコンクール優勝から1年と少し経ちました。優勝後、身の回りに変化はありましたか。演奏活動の中で感じていることは?

一番の違いは時間の使い方ですね。

コンクール前は「次に何をしようかな」と余裕を持って計画を立てていたのですが、優勝後は「次に休憩を取れるのはいつか」を考えなければならないくらい、緻密なスケジュールが必要になった。さらに、短期だけでなく、長期的な計画も要る。3年後に自分が何を弾くのかまで考えなければいけない。

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