「四角くしただけ」ガムテープがバズった納得の訳 当たり前を疑う「完璧な製品なんて存在しない」

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次に、この課題が解決された状態を考えると、「見た目で硬度(濃さ)がわかる」ことになります。そこで、ちょっと変える発想法です。

えんぴつのなにを変えれば濃さが一目でわかるようになるか。「形?」「使い方?」「機能?」「名前?」。えんぴつの素材を分解していろいろと考えた結果、見つけたのが、柄を「筆跡」に変えるというアイデアです。

くわえて、アイデアの価値がさらに高まるように、そのほかの付加価値も考えてみます。

「試し書きができなくても、商品を見るだけで硬度を確認できる」「2B・HBの意味がわからない子供たちにとってわかりやすい」というような価値が考えられました。

「柄」をちょっと変えただけのアイデアなので、えんぴつの製造方法や機械などは変えずに、印刷加工のみで実現できます。まさに「少しの工夫」で「大きな効果」を実現できるアイデアになりました。

糊が真ん中「向きのない付箋」

製品やサービスの「課題」を考えてアイデアを生み出そうとしても、なかなか良い案が浮かばないこともあります。「この製品に課題なんてない」と、諦めてしまいがちです。でも、この世に「完璧な製品」なんて存在しません。「当たり前」を疑ってみると、ヒントが見えてきたりします。

次に紹介する「向きのない付箋」も、「付箋の糊は、なぜ端についているのか?」と、当たり前を疑ったことがきっかけでした。これは付箋の「位置」をちょっと変えたアイデアです。

付箋
(出典:『「ありそうでなかったアイデア」のつくりかた』より)

付箋の糊が端についていることは、もはや当たり前のことであり、おそらくほとんどの人は「糊の位置」に違和感を覚えることなんてないと思います。しかし私は、ここに違和感を抱くと同時に、誰も着目しないであろう点に気づけた確信もあり、この可能性を追求するアイデアを考えようと決めました。

糊の位置が端にあることで起こる問題を考えたところ、「向きを間違えて書いてしまう」という問題が浮き彫りになりました。付箋を手に取り、急いで書いたとき、気づけば向きが反対だったなんてこと、たまにありますよね?

この問題は、「方向という概念をなくす」ことができれば解決できます。そこで思いついたのが、糊の「位置」を「真ん中」に変えた付箋です。糊を真ん中にすることで「向き」の概念がなくなり、どの向きでも書ける自由度の高い付箋になります。

次ページどの向きからでも剥がせるのも利点
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