「四角くしただけ」ガムテープがバズった納得の訳 当たり前を疑う「完璧な製品なんて存在しない」

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日常を便利にしたり、課題を解決したりするアイデアは、「ちょっとの工夫」で生まれていることが多いのです(出典:『「ありそうでなかったアイデア」のつくりかた』より)
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2022年1月にTwitterに投稿されるやいなや、20万以上の「いいね」がつき、多数のメディアでも取り上げられ話題になったアイデアがあります。それが、「四角いガムテープ」です。投稿したのは、会社員として働きながら、多数の商品アイデアコンテストに応募し、受賞率9割以上をほこるアイデアクリエイターのいしかわかずや氏です。
新商品の企画が社内で募集され、何日もかけて必死で考えたにもかかわらず、「このアイデア、ありがちだよね」「たしかに便利だけど、驚きが少ないなあ」などと言われてしまった経験はないでしょうか。いまは「便利なだけ」のアイデアでは生き残ることが難しくなり、便利なうえに、大きな「驚き」や「発見」を与えるアイデアが求められています。求められるアイデアのハードルは高くなり、評価されるアイデアを生み出すことが難しい時代になりました。
しかし、いしかわさんはこう言います。「いいアイデアを生み出すのに、センスも努力も必要ない」、と。本稿は『「ありそうでなかったアイデア」のつくりかた』の著者、いしかわ氏が実践する、評価されるアイデアを生むシンプルな発想法について紹介します。

転がる問題も解決「四角いガムテープ」

当たり前に使っているガムテープですが、「これ、なんで丸いんだろう?」と思ったことはありませんか?

「ガムテープの形を変えるだけで、なにかよくなることがあるのではないか?」。こう思ったことがきっかけで生まれたのが、「四角いガムテープ」のアイデアです。ガムテープはみんなが使うアイテムなので、使いづらい課題を解決すれば、みんなに「共感」と「驚き」を与えられるのではないかと考えました。

まさにこの「四角いガムテープ」は、それを達成できたアイデアだと思います。形を「丸」から「四角」に変えただけで、「転がってしまう問題」を解消し、「均等な長さで切れる」「陳列しやすい」といった付加価値も生まれました。

こういった考え方を、私は「ちょっと変える」発想法と呼んでいます。日常を便利にしたり、課題を解決したりするアイデアは、発明といったものではなく、意外にも「ちょっとの工夫」で生まれていることが多かったりします。

人間が五感で感じる「形」「色」「香り」「素材」などを少し変えることで、「課題を解決する」、あるいは「特徴をさらに伸ばす」。これが、ちょっと変える発想法です。

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